北朝鮮では、度々「速度戦」と呼ばれる突貫工事が行われています。人海戦術で工期を短縮する手法ですが、その安全性には疑問の声が上がっています。今回は、2024年7月末の集中豪雨で被災した地域で建設中のアパートを例に、専門家の視点から安全性を検証します。果たして、人々が安心して住める家が完成するのでしょうか?
速度戦が生む杜撰な建設現場
北朝鮮の突貫工事現場で休憩する作業員。疲労困憊の様子が伺える。
アジアプレスは、2024年10月中旬、平安北道新義州市と義州郡の被災者向けアパート建設現場を取材しました。遠目から見ると、まるで廃墟のようでした。不揃いな木材で組まれた足場、色ムラのある外壁、バラバラに伸びる鉄筋など、素人目にも不安を抱かせる光景が広がっていました。
東京理科大学の今本啓一教授(コンクリート工学専門)に、現場写真と映像を分析してもらいました。今本教授は、コンクリートの強度や耐久性、鉄筋コンクリート造の建物の劣化メカニズムに精通しています。
コンクリート工学専門の今本啓一教授
コンクリートの早期脱型が招く危険性
コンクリートが湿った状態のまま型枠が外されている様子
今本教授は、写真からコンクリートの早期脱型が行われていると指摘しました。通常、コンクリートが十分な強度を得るまでには、気温20度前後で4~6日かかります。しかし、写真を見る限り、1日、あるいは半日程度で型枠が外されている可能性があるとのことです。
早期脱型は、コンクリートの強度不足につながり、ひび割れや崩落の危険性を高めます。地震や風雨などの災害時に、建物の倒壊リスクも増大します。
専門家の見解
「このような突貫工事は、住民の安全を軽視していると言わざるを得ません。十分な養生期間を設けずに工事を進めることは、重大な事故につながる可能性があります。」(今本教授)
まとめ:安全な住居の提供は?
北朝鮮の「速度戦」アパート建設は、工期の短縮を優先するあまり、安全性を犠牲にしている可能性があります。専門家の分析からも、その危険性が浮き彫りになりました。人々が安心して暮らせる住居を提供するためには、安全基準を遵守した施工が不可欠です。
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