終盤を迎えている秋ドラマでは、壮大なスケールのロケと豪華俳優陣で圧倒する『海に眠るダイヤモンド』(TBS系、日曜午後9時~)や『Doctor-X 外科医・大門未知子』シリーズの中園ミホ氏が脚本を務める『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系、木曜午後9時~)などが比較的高い視聴率と話題性をキープしているが、他の作品はいまいち苦戦を強いられている。
そんな低迷している秋ドラマの中で、業界で働くテレビドラマ関係者たちが「期待外れだった」と酷評している作品は何なのか? また「演技がいまいち」「役に合っていない」と感じた俳優は誰なのか? 率直な意見を語ってもらった。
期待を大きく裏切って撃沈した『民王R』
まず、キー局でドラマ制作に携わっていた50代の元ドラマプロデューサー・A氏に話を聞いた。
「筆頭は『民王R』(テレビ朝日系、火曜午後9時~)でしょうね。初回こそ平均世帯視聴率7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好調でしたが、2話以降にガタ落ち。その大きな理由は、前作との違いだと思います。
前作は遠藤憲一さん演じる総理大臣・泰山と菅田将暉さん演じる息子の心が入れ替わるという設定でしたが、今回は各話ごとに市民と入れ替わる設定に変更。
さまざまな時事問題を斬っていくストーリー構造は面白いですが、継続して見たいと思わせる惹きの要素が欠落してしまった印象です。
深夜から早い時間帯の放送になった割に出演者のネームバリューが弱くなったのも大きく、良くも悪くも遠藤さんの多彩な演技力だけが目立つドラマになっていますね」
二番煎じの作風で冷めてしまった『若草物語』
また、A氏はもう一作、期待外れだった秋ドラマを挙げた。
「若手の実力派女優がそろうので期待していましたが『若草物語 -恋する姉妹と恋せぬ私-』(日本テレビ系、日曜午後10時30分~)にはガッカリさせられました。
女性の結婚観や仕事への向き合い方を描くドラマは頻発しており、そういった作品の二番煎じに過ぎなかった。長濱ねるさん演じる三女の失踪をミステリーっぽく入れていたのも苦肉の策といった印象。
原案となった『若草物語』との共通点やオマージュはあるものの、わざわざ拝借する必要があったのかも疑問です。展開が読めてしまい、冷めてしまう部分も多い一作でした」