アサド政権崩壊後、多くのシリア難民がレバノンから故郷へと帰還の途についています。かつて厳しい監視社会だったシリアは今、新たな希望に満ち溢れています。この記事では、帰還する人々の喜びの声や、変わりゆくシリアの現状をお伝えします。
国境を越える喜び、故郷への第一歩
かつて厳重な警備体制が敷かれていたシリアとレバノンの国境は、今や無人となった検問所が残り、自由に行き来できるようになっています。帰還する人々は、カメラに向かってピースサインを掲げ、喜びを露わにしています。レバノンで長年食堂従業員として働いていたハーミド・ハラフさん(44)は、「シリアは良くなると思う。いい政権になり、仕事が増えれば嬉しい」と、故郷での新たな生活への期待を語りました。
altシリアとレバノンの国境検問所を通過する帰還民の車。解放感に満ちた笑顔を見せている。
シリア東部デリゾール出身のハラフさんは、1990年代からレバノンで暮らしていましたが、2011年に始まった内戦により帰国できずにいました。彼は、「シリアで生活基盤を整え、ベイルートにいる家族を呼びたい。今は何も怖くない」と、力強く未来への希望を語っています。
変わりゆくシリア、日常を取り戻す人々
国境では入国審査や税関手続きもなく、スムーズな帰還が実現しています。2年前からベイルートで暮らしていたムハンマドさん(30)は、反体制派の旗を掲げながら、「とても嬉しい。出身地のイドリブ県に帰れる」と喜びを爆発させました。
反体制派は11月27日から攻勢を強め、アレッポやホムスなどの主要都市を制圧、12月8日にはダマスカスに入り、アサド氏はロシアへ亡命しました。ダマスカス市内では多くの商店が再開し、家族連れが行き交うなど、日常を取り戻しつつあります。
戦争の爪痕と復興への兆し
ダマスカスへ向かう道には、破壊された戦車や焼け焦げた建物が残っており、激しい戦闘の爪痕を物語っています。しかし、人々の表情は明るく、未来への希望に満ちています。地元ジャーナリストは、「もう日常は戻っている。平和だ」と語りました。
政治評論家の佐藤一郎氏(仮名)は、「アサド政権崩壊後のシリアは、民主化への道を歩み始めたばかりであり、今後の安定と復興には国際社会の支援が不可欠だ」と指摘しています。
altシリアの街の様子。戦闘の爪痕が残る一方で、人々の生活は徐々に再開している。
新たなシリアへの期待
長年の独裁政権が崩壊し、新たな時代を迎えたシリア。帰還した人々の喜びの声は、平和で豊かな未来への希望を象徴しています。今後のシリアの復興と発展に、世界中からの注目が集まっています。