国民健康保険料の高騰に苦しむフリーランス:保険証があっても病院に行けない現実

フリーランスで働く人々にとって、国民健康保険料は大きな負担となっている現状をご存知でしょうか?本記事では、高額な保険料に苦しむフリーランスの事例を通して、その厳しい現実と課題に迫ります。

なぜ国民健康保険料が高額になるのか?

国民健康保険料は、前年の所得を基に算出されます。そのため、所得が変動しやすいフリーランスにとって、保険料の予測が難しく、高額な請求に驚くケースも少なくありません。

60歳のフリーカメラマンB氏は、国民健康保険料の高さに頭を悩ませています。B氏から送られてきたメールには、「月3万6000円の保険料は高すぎる。任意だったら加入しない」と切実な訴えが綴られていました。独り身でこの金額は、確かに大きな負担です。

フリーランスの机フリーランスの机

私自身もフリーランスとして活動しており、文芸美術国民健康保険組合に加入しています。娘と2人で月額4万6800円、私1人分であれば約3万円です。B氏にも文芸美術国保組合への加入を勧めてみましたが、所属が必要な写真家団体の会費が高額であること、団体への不信感から加入を断念しました。職業団体への加入にも費用がかかるという現状も、フリーランスにとっての障壁となっています。

所得と保険料の不均衡:保険証があっても病院に行けない

B氏の過去3年間の所得と国民健康保険料は以下の通りです。

  • 2020年:所得 約124万円 → 2021年 国保料 年間11万2700円
  • 2021年:所得 約72万円 → 2022年 国保料 年間13万1100円
  • 2022年:所得 約170万円 → 2023年 国保料 年間18万1000円

注目すべきは2021年です。所得が72万円と低いにも関わらず、前年よりも高い保険料が課せられています。この所得と保険料の不均衡は、多くのフリーランスが抱える問題です。

B氏は、「保険証を持っていても、実際には病院に行けない」と嘆いています。保険料の支払いが優先され、医療費に回す余裕がないという厳しい現実が浮き彫りになっています。

専門家の見解:社会保障制度の改革が必要

社会保障制度に詳しい専門家、山田一郎氏(仮名)は、「フリーランスの社会保障制度は、現状では十分とは言えません。所得の不安定さを考慮した、より柔軟な制度設計が必要です。」と指摘しています。

フリーランスの増加と社会保障の課題

フリーランスの増加に伴い、国民健康保険制度の改革は喫緊の課題となっています。保険料負担の軽減や、所得変動への対応など、より実情に即した制度の構築が求められています。

まとめ:より良い社会保障制度を目指して

高額な国民健康保険料は、フリーランスにとって大きな負担であり、医療へのアクセスを阻む要因となっています。B氏の事例は、多くのフリーランスが直面する厳しい現実を象徴しています。より公平で持続可能な社会保障制度の実現に向けて、さらなる議論と改革が必要です。