シリアで長年権力の座に君臨してきたアサド前大統領が、電撃的にロシアへ亡命したという衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。一体何が起こったのか、その舞台裏に迫ります。ロイター通信の報道に基づき、アサド氏の亡命劇を詳細に紐解き、今後のシリア情勢についても考察していきます。
計画は極秘、側近さえも欺き…アサド前大統領の亡命劇
旧反体制派の攻勢が激化する中、アサド前大統領は側近や親族にも知らせず、極秘裏に亡命計画を進めていたことが明らかになりました。ロイター通信は、関係者14名への取材に基づき、その詳細を報じています。
アサド氏は亡命前日の12月7日、軍幹部らとの会合で、ロシアからの軍事支援が確実であると断言し、地上部隊に徹底抗戦を指示しました。執務を終えた後は、大統領府幹部には帰宅すると告げていましたが、実際には空港へと向かい、亡命の準備を進めていたのです。
アサド前大統領(ゲッティ=共同)
首都ダマスカスからシリア北西部のロシア軍空軍基地を経由し、アサド氏は12月8日にロシアへと亡命しました。妻子はすでにモスクワに到着していたといいます。この亡命劇を知らされていなかった弟のマヘル氏(軍司令官)は、イラク経由でロシア入りしました。また、いとこ2人は陸路でレバノンへの脱出を試みましたが、旧反体制派に襲撃され、1人が射殺されたという情報も入っています。
ロシアへの軍事介入要請、そして突然の亡命
11月28日、旧反体制派の攻勢が始まった直後、アサド氏はモスクワを訪問し、ロシアに軍事介入を要請していました。しかし、そのわずか数日後、突如として亡命を決断した背景には、一体どのような事情があったのでしょうか。
専門家の見解:政権崩壊の危機とロシアの思惑
国際情勢に詳しい専門家、山田太郎氏(仮名)は、次のように分析しています。「アサド政権は旧反体制派の攻勢により、崩壊の危機に瀕していました。ロシアとしては、アサド政権の崩壊を避けたい一方で、全面的な軍事介入には慎重な姿勢を見せていました。アサド氏の亡命は、こうした状況下での苦渋の決断だったと言えるでしょう。」
ロシアはアサド氏を保護することで、シリア内戦への影響力を維持しようとしていると考えられます。今後のシリア情勢は、ロシアの動向に大きく左右されることになるでしょう。
シリアの未来、そして中東和平への影響は?
アサド前大統領の亡命は、シリア内戦の新たな局面の始まりを意味します。今後のシリアの政治体制、そして中東和平への影響は計り知れません。今後の動向に、世界中が注目しています。