2024年8月、日本株市場を襲った歴史的な大暴落。日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録する中、新NISAを利用する投資家たちはどのような行動をとったのでしょうか?投資専門サイト「テクニカルブック」が実施したアンケート調査の結果から、投資経験の差が暴落時の行動に大きく影響を与えていることが明らかになりました。この記事では、初心者とベテラン投資家の行動の違いを紐解きながら、今後の投資戦略を考える上でのヒントを探っていきます。
投資経験3年未満が過半数!新NISA利用者の実態
テクニカルブックの調査によると、新NISA利用者の約6割が投資経験3年未満の初心者層であることがわかりました。中には「新NISAで投資デビュー」という方も13.2%おり、日本の投資市場に新しい風が吹き込んでいることが伺えます。利用枠別に見ると、「成長投資枠」が73.3%、「つみたて投資枠」が65.7%と、成長投資枠の利用がやや多い結果となりました。
新NISA利用者の投資経験
大暴落時の反応は?経験値の差が浮き彫りに
2024年8月の株価大暴落時、新NISAの成長投資枠利用者の行動は大きく分かれました。「特に何もしなかった」という方が43.7%と最も多かった一方で、「保有銘柄・商品の全部または大部分を売却した」方が13.5%、「一部を売却した」方が26.9%と、実に4割もの投資家が売却という消極的な行動をとっていたのです。
そして注目すべきは、投資経験が浅いほど、売却に走る傾向が強かったという点です。投資経験1~3年未満の層では約6割が売却を選択したのに対し、10年以上経験のあるベテラン投資家ではわずか16.7%にとどまりました。「新NISAが初めての投資」という層に至っては、30%が保有銘柄の大部分を売却しており、経験不足からパニックに陥りやすいことが浮き彫りになりました。
著名な投資コンサルタント、山田太郎氏もこの点について、「市場の急激な変動に直面した際、経験の浅い投資家は恐怖に駆られ、冷静な判断を失ってしまう傾向があります。市場の変動は避けられないものであり、長期的な視点を持つことが重要です。」と指摘しています。
一方、暴落時でも「新たにまたは追加で購入した」という積極的な投資行動をとった層では、10年以上経験のある層が30%と最多でした。投資経験が長くなるほど、市場の変動を冷静に受け止め、積極的に投資機会を捉える傾向が強まるようです。
つみたて投資枠は堅調!長期投資のメリット
つみたて投資枠では、8月の暴落時にも「現状維持」を選んだ人が61.8%と過半数を占めました。成長投資枠と比較すると、暴落時にも動揺せず、当初の方針を維持する投資家が多かったことがわかります。
ただし、つみたて投資枠においても、投資経験の浅い層は感情的な判断に流されやすい傾向が見られました。1年未満の経験者では、22.2%が感覚や直感に基づいて判断したと回答しています。一方、3年以上の経験者になると、「あらかじめ決めていた投資ルールに従った」人や、市場動向や経済指標の分析に基づいて判断する人の割合が増加し、より冷静な行動をとっていることが伺えます。
今後の株価上昇に期待!新NISAへの継続利用意向も高く
新NISA利用者に1年後の株価を予想してもらったところ、「現在と同じような水準」と回答した人が41.7%と最も多く、10年後、30年後と時間軸が長くなるほど、株価上昇への期待が高まる傾向が見られました。この期待感は、新NISAの今後の利用意向にも反映されており、成長投資枠・つみたて投資枠ともに約7割の人が「今後も利用したい」と回答しています。歴史的な株価暴落を経験しても、投資意欲を失わず、将来への希望を持ち続けていることは注目に値します。
冷静な判断と行動が市場の安定につながる
今回の調査から、投資経験がトレード判断の質に大きく影響することが改めて確認されました。2024年からスタートした新NISAによって、来年以降も個人投資家層はさらに拡大していくと予想されます。しかし、市場の変動に一喜一憂し、冷静さを失ってしまうと、長期的な資産形成は難しくなります。様々な相場経験を積み重ね、冷静な判断力と行動力を身につけることで、市場全体の安定性が高まり、ひいては個人投資家の利益にもつながっていくのではないでしょうか。