経済産業相の諮問機関、総合資源エネルギー調査会の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」は先日、中間整理(第3次)を公表しました。筆者も小委員会のメンバーとして関わっています。今回は、中間整理のポイントと、その中で示された「需給一体型モデル」と「プッシュ型」の系統形成を取り上げます。
中間整理のポイント
今回の中間整理のポイントは、(1)電源の特性に応じた政策の検討、(2)適切な事業規律と既認定案件の適正な導入、(3)再エネ主力電源化に向けた次世代電力ネットワークへの転換-です。
1つ目のポイントは、電源を「競争力のある電源への成長が見込まれる電源(競争電源)」と、「地域において活用され得る電源(地域電源)」の2つに分けて、今後の政策を検討することを明確にしたことです。
競争電源である大規模事業用太陽光や風力発電は入札制度を拡大し、大規模地熱や中小水力については開発支援を行っていく考えです。これにより発電コストのさらなる低減を図り、電力市場への統合を検討する方針です。
一方、地域電源である住宅用太陽光や小規模事業用太陽光は「需給一体型モデル」を、小規模な地熱、水力、バイオマスは「地産地消モデル」を推進していきます。日本の再エネ発電コストは国際水準と比べて高く、国民負担増大の一因になっています。2030年度のエネルギーミックスで示した再エネの割合22~24%を達成するための、固定価格買取制度(FIT)の買取費用総額は3・7兆~4・0兆円と想定していましたが、2019年度の時点ですでに3・6兆円に達する見込みです。国民負担を今後できるだけ抑えつつ、再エネの導入拡大を進めることは急務の課題です。
2つ目のポイントである、適切な事業規律と既認定案件の適切な導入では、「太陽光パネルの廃棄費用の外部積立制度の導入」「小規模太陽光の安全確保に向けた規律の強化」「未稼働案件の系統空押さえ是正に向けた対応策」を進めていく方針です。パネル廃棄費用の外部積立制度については、私もワーキンググループのメンバーを務めており、2019年度中に積立制度の仕組みをとりまとめ、できるだけ早期の制度導入を目指しています。