【ソウル=桜井紀雄】ロシアのラブロフ外相は12日、訪問先の北朝鮮東部、元山(ウォンサン)で、第二次世界大戦時に露朝両国が「日本軍国主義」と共同で戦ったことを記念するモニュメントをモスクワの公園に建立する計画だと明らかにした。
北朝鮮を建国した故金日成(キム・イルソン)主席らの朝鮮人抗日ゲリラ部隊と旧ソ連軍の連携を指すとみられる。しかし、ソ連軍と朝鮮人部隊が共同で日本軍と戦った大規模な戦闘などは史実で確認されておらず、誇張した歴史を現在の露朝軍事協力のプロパガンダに活用しようという思惑があるようだ。
露外務省によると、ラブロフ氏は、北朝鮮側の歓迎レセプションで、モニュメントの建立計画を公表するとともに、露西部クルスク州で露軍と朝鮮人民軍がともにウクライナ軍と戦ったことに触れ、「1945年のわれわれ(ソ連軍と朝鮮人)の兵士らの共同偉業が一緒にクルスク州で戦闘に当たっている今の時代の(露朝両国の)将兵らを奮い立たせている」と強調した。
ソ連は第二次大戦時、ソ連領に逃れた金日成らを保護し、軍事訓練などを施した。その後、指導者として擁立した金日成に北朝鮮を建国させた。ただ、旧満州の朝鮮人部隊は、主に中国共産党傘下に置かれ、ソ連軍と連携して日本軍と大々的に交戦した史実は確認されていない。北朝鮮は「朝鮮人民革命軍がソ連軍とともに対日戦のために決起し、朝鮮の各都市を解放した」との虚構の歴史を主張している。