台湾の若者を襲う貧困問題:物価高騰、家賃高騰、そして副業の現実

台湾の若者を取り巻く貧困問題が深刻化しています。物価や家賃の高騰を受け、路上生活を余儀なくされる若者が増えているのです。本記事では、台北駅周辺のホームレス増加の現状、若者の経済状況、そして彼らがどのように生活費を稼いでいるのか、その実態に迫ります。

台北駅周辺で目立つ若いホームレスの姿

近年、台北駅周辺で若いホームレスの姿が目立つようになりました。「友洗社創」というホームレス支援企業を設立した林立青氏によると、この傾向はコロナ禍で顕著になり、現在も続いているとのこと。外出制限の影響で日雇い労働を失った若者、オンライン詐欺の被害に遭った若者など、路上生活に追い込まれる理由は様々です。実際に台北駅周辺を歩くと、疲れた表情で段ボールに横たわる若いホームレスの姿を目にします。

台北駅のホームレス台北駅のホームレス

半導体バブルの恩恵を受けられない若者たち

コロナ禍に加え、物価と家賃の高騰が若者の生活を圧迫しています。淡水区に住む20代エンジニアの呉さんは、台北の一人暮らし用ワンルームの家賃は8万~10万円程度だと話します。台湾の大卒初任給の平均は約15万円ですが、これはTSMCのような一部大企業の高給が平均値を押し上げているため、多くの若者にとって家賃は大きな負担です。親からの支援、ルームシェアなど、様々な方法で生活費をやりくりしているのが現状です。郊外に住むことで家賃を抑えるという選択肢もありますが、それでも生活は楽ではありません。

副業が当たり前?台湾の若者の就労事情

台湾では、若者の副業が一般的です。企業も副業を認めているところが多く、コンビニや飲食店などでアルバイトをする若者も少なくありません。「小雞上工」という日雇い労働アプリも普及しており、手軽に仕事を探せるようになっています。しかし、このアプリで見つかる仕事は低賃金で不安定なものが多く、生活費を稼ぐために複数の仕事を掛け持ちする「スラッシュキャリア」と呼ばれる働き方が広がっています。

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未来への不安を抱える台湾の若者たち

台湾経済は成長を続けていますが、その恩恵が若者全体に届いているとは言えません。物価高、家賃高、低賃金の現状に苦しむ若者たちは、将来への不安を抱えながら日々を過ごしています。彼らが安心して生活できる社会を実現するために、政府や企業のさらなる支援策が求められています。