韓国で12月3日に発令された非常戒厳令を巡り、弾劾裁判に立たされている尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領。19日、大統領側は戒厳令下において国会議員の逮捕を指示した事実はないと明言しました。
尹大統領の弁護団構成などを支援している石東炫(ソク・ドンヒョン)弁護士(司法研修院第15期)は同日、ソウル高等検察庁前で記者団に対し、「尹大統領は逮捕の『逮』の字も口にしたことはない。直接本人から聞いた」と語りました。石弁護士は尹大統領とソウル大学法学部79年入学の同期で、40年来の親交があります。
尹錫悦大統領
尹大統領「逮捕せよ」発言の真相は?
石弁護士は「大統領は法律家です。『逮捕せよ』『引きずり出せ』といった言葉は使ったことがないと聞いています」と強調。「尹大統領は基本的・常識的な思考と国民的な視点から、内乱など全くあり得ないことだと考えている」と説明しました。
弁護団選任の遅れは時間稼ぎ?
弁護団選任が遅れていることについて、時間稼ぎではないかとの指摘が出ていますが、石弁護士は「時間稼ぎは主に野党が行ってきたこと」と反論。「大統領弾劾訴追は拙速に進められた側面がある」と述べました。
さらに、「手続きを否定することもできず、対応する立場としては様々な準備が必要なのではないか」とし、「時間稼ぎというのは性急な評価だと考える」と付け加えました。
憲法学者・金教授の見解
韓国憲法学会の金教授(仮名)は、今回の弾劾訴追について、「戒厳令発令の是非は司法判断に委ねるべきであり、弾劾という政治的プロセスで判断するのは適切ではない」と指摘しています。戒厳令発令の背景や必要性、そしてそれが憲法に照らして適法であったかどうかの判断は、綿密な事実認定と法解釈が必要となる複雑な問題であるため、政治的な思惑が入り込む余地のある弾劾裁判では、公正な判断が難しいとの見解を示しています。
今後の展開は?
尹大統領の弁護団は今後、弾劾訴追の違憲性を主張し、徹底的に争う構えを見せています。今後の裁判の行方によっては、韓国政局はさらに混迷を深める可能性も懸念されています。国民の関心は、裁判の行方と今後の韓国政局の安定に向けられています。