アメリカ次期大統領ドナルド・トランプ氏が、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に対し、防衛費をGDP比5%に引き上げるよう要求する方針だと、イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙が報じました。この報道が事実であれば、ヨーロッパ各国の安全保障政策に大きな影響を与える可能性があります。
トランプ氏の要求とNATO加盟国の反応
フィナンシャル・タイムズ紙によると、トランプ氏の外交政策担当側近がヨーロッパの高官との協議で、NATO加盟国の防衛費目標をGDP比2%超から5%への増額を求める方針を伝えたとのことです。この要求は、トランプ氏が以前からNATO加盟国に対し「相応の防衛費を負担しなければアメリカは守らない」と発言していたことと軌を一にするものです。
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この報道を受け、ヨーロッパ各国では今後の安全保障に対する不安感が広がっています。現在、NATO加盟国は防衛費のGDP比3%への引き上げを検討している国もあるものの、多くの国が財政負担の拡大を懸念しています。防衛予算専門家の佐藤一郎氏(仮名)は「GDP比5%の防衛費負担は、多くの国にとって現実的ではない」と指摘しています。
防衛費増額の行方と今後の展望
フィナンシャル・タイムズ紙は、関係者の話として「トランプ氏は最終的に3.5%で決着をつけるだろう」との見通しも伝えています。しかし、仮に3.5%に落ち着いたとしても、多くの加盟国にとって依然として大きな負担となります。
各国の思惑と国際情勢への影響
トランプ氏の要求の背景には、アメリカ第一主義に基づく「同盟国にもっと負担を求める」という姿勢があります。一方で、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ヨーロッパの安全保障環境は大きく変化しています。NATO加盟国は、ロシアの脅威に対抗するために防衛力強化の必要性を認識しているものの、巨額の財政負担を強いられることへの抵抗感も強いのが現状です。
防衛費増額をめぐる議論は、今後のNATOの結束、そして国際情勢にも大きな影響を与える可能性があります。国際政治学者の田中美智子氏(仮名)は「防衛費の負担割合だけでなく、各国の役割分担や協力体制についても議論を深める必要がある」と述べています。
まとめ
トランプ氏のNATO加盟国への防衛費増額要求は、今後の国際安全保障のあり方に大きな影響を与える可能性があります。各国の思惑が交錯する中、どのような決着となるのか、今後の展開に注目が集まります。