韓国の野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領権限代行によるコメ価格暴落時の政府買入義務化などを盛り込んだ糧穀管理法改正案などへの拒否権行使に対し、強い非難の声を上げました。李代表は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の立法権無視の姿勢が権限代行体制下でも続いていると指摘し、国民の意思に従い内乱特別検査法の迅速な公布を求めました。
拒否権行使と三権分立の危機
韓悳洙権限代行は、野党主導で可決された糧穀管理法改正案、農水産物の流通および価格安定法改正案、農漁業災害対策法改正案、農漁業災害保険法改正案、国会法改正案、国会証言鑑定法改正案の計6法案に対し、再議を要求(拒否権行使)しました。 これらの法案は、コメ価格の暴落対策や農漁業災害支援などを強化する内容で、国民生活の安定に直結する重要な法案です。
コメの収穫
李代表は、この拒否権行使は三権分立の侵害であり、国民の意思を無視するものだと強く批判。憲法裁判官の任命拒否の可能性にも言及し、もしそれが事実であれば内乱行為に等しいと警告しました。
弾劾訴追案の準備と与党への批判
共に民主党は、韓権限代行の弾劾訴追案の草案を既に作成しており、クリスマス前に弾劾手続きに着手する可能性を示唆しています。また、李代表は与党「国民の力」に対しても、戒厳解除や弾劾に反対し、捜査を妨害する姿勢を批判。「国民の恐ろしさを理解していない」と述べ、内乱の真相究明と尹大統領の罷免手続きへの協力を求めました。
韓国国会
補正予算編成の必要性を訴え
経済の減速懸念が高まる中、李代表は早期の追加補正予算編成の必要性を訴えました。韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も景気浮揚策としての補正予算の必要性に言及しており、李代表は政府と与党に対し、国民生活の安定に向けた迅速な対応を求めました。
専門家の見解
韓国の政治経済アナリスト、パク・チョルス氏は「今回の拒否権行使は、政権と野党の対立をさらに深める可能性がある」と指摘。「経済の減速も深刻化しており、政治の混乱が経済に悪影響を与えることが懸念される」と述べています。
経済学者キム・ユンジョン氏も「補正予算編成は喫緊の課題だ」と強調。「景気の下支えだけでなく、生活困窮者への支援策も強化する必要がある」と述べ、迅速な対応を求めました。
まとめ
韓国政界は、大統領の不在と権限代行の拒否権行使により、混迷を深めています。野党は弾劾の可能性を示唆し、与党との対立も激化しています。経済の減速も深刻化しており、今後の政局の行方が注目されます。