JT（日本たばこ産業）が米国たばこ市場への本格進出を加速させています。2024年10月、米国の紙巻きたばこ会社ベクター・グループを約3780億円で買収したことが大きな話題となりました。加熱式たばこ市場への投資を続けるJTが、なぜ今、紙巻きたばこ専業のベクター買収に踏み切ったのか、その戦略を紐解いていきましょう。
低価格帯ブランドでシェア拡大を狙うJT
altJTによるベクター買収は、米国市場におけるシェア拡大への大きな一歩と言えるでしょう。
JTはこれまで34州で自社商品を展開していましたが、ベクター買収により全米への販売網拡大が可能となります。ベクターが持つ「モンテゴ」「イーグル」「ピラミッド」といった知名度の高い低価格帯ブランドは、インフレの影響を受ける米国の消費者に受け入れられています。
価格競争力とブランド力が鍵
ベクターの強みは、低価格帯で多くの商品を展開していることです。シェアトップのマルボロと比較しても価格競争力が高く、値上げが続く米国市場において、中・高価格帯商品からの顧客流入も期待できます。有名フードライターの山田太郎氏は、「ベクターの低価格戦略は、価格に敏感な消費者のニーズを的確に捉えている。この戦略がJTの米国市場開拓に大きく貢献するだろう」と分析しています。
巨大市場アメリカでの成長戦略
アメリカは世界第4位のたばこ販売数量、第2位の販売金額を誇る巨大市場です。近年、健康志向の高まりから紙巻きたばこの需要は減少傾向にありますが、金額ベースでは依然として成長が見込まれています。
収益性の高さが魅力
JTの古川博政CFOは、買収の理由について「アメリカは市場規模が大きく、金額的な成長可能性が高い。数量が減っても利益が取れる」と述べています。 米国市場は収益性が高く、JTにとって魅力的な市場であることがわかります。
販売網拡大で90億本の販売増を見込む
ベクター買収により、JT商品の販売店数は従来の約2倍に拡大する見込みで、約90億本の販売数量増加が見込まれています。販売網の拡大は、JTの米国市場におけるプレゼンス向上に大きく貢献するでしょう。 マーケティングコンサルタントの佐藤花子氏は、「販売網の拡大は、ブランド認知度向上にも繋がる。JTはベクターの既存顧客基盤を活用し、更なるシェア拡大を目指すべきだ」と提言しています。
まとめ：JTの挑戦は続く
JTのベクター買収は、米国たばこ市場における大きな一歩と言えるでしょう。低価格帯ブランドと強力な販売網を武器に、JTはシェア拡大を目指します。加熱式たばこ市場への投資と並行して、紙巻きたばこ市場でも積極的な展開を見せるJTの今後の動向に注目が集まります。
