日産自動車が、9000人規模の大リストラを発表し、日本経済に激震が走っています。中国やアメリカ市場での苦戦、電気自動車(EV)戦略の遅れなど、様々な要因が重なり、わずか8ヶ月前に発表した中期経営計画を撤回する事態に追い込まれました。この大胆なリストラ策は、日産の復活へののろしとなるのでしょうか?それとも更なる苦境の始まりなのでしょうか?この記事では、日産の現状と今後の展望について詳しく解説します。
経営不振の深刻化と大リストラ策
日産の2024年9月期中間決算は、純利益が前年同期比94%減の192億円と大幅に減少。売上高も前年同期比1.3%減の5兆9842億円、営業利益は同90.2%減の329億円と、いずれも厳しい結果となりました。これを受け、2025年3月期の営業利益予想も5000億円から1500億円へと下方修正。今期2度目の下方修正となり、経営不振の深刻さが改めて浮き彫りとなりました。
日産の業績悪化を示すグラフ
こうした状況を受け、日産は全世界で9000人規模の人員削減、生産能力の2割縮小という大リストラ策を発表。内田誠社長は「痛恨の極み」と述べ、責任を痛感する姿勢を示しました。具体的な削減時期や対象地域は明言されていませんが、日本国内の工場閉鎖も検討されているとみられています。
アメリカ・中国市場での苦戦
日産の業績悪化の大きな要因として、アメリカと中国市場での苦戦が挙げられます。アメリカでは、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車の展開が遅れ、需要を取り込めていない状況。中国では、電気自動車(EV)市場における価格競争の激化により、販売台数が想定を下回っています。販売奨励金の負担も重く、工場の稼働率も低下しているとのことです。自動車市場アナリストの山田花子氏は、「日産は世界市場のトレンドを読み誤り、他社との競争に遅れをとっている」と指摘しています。
EV戦略の遅れと今後の課題
日産はEVに注力してきましたが、中国メーカーやテスラとの差別化に苦戦。消費者のニーズを捉えた魅力的な車種を開発できていないのが現状です。自動車ジャーナリストの鈴木一郎氏は、「EV市場で生き残るためには、革新的な技術開発とブランド力の強化が不可欠だ」と述べています。
経営戦略の見誤りと社長の報酬返上
日産の経営戦略は、完全に見誤ったと言えるでしょう。一時的な業績低迷ではなく、構造的な問題を抱えていると見るべきです。内田社長は11月から報酬の5割を返上すると発表しましたが、それでも3億円を超える報酬を受け取ることになります。SNS上では、経営陣に対する批判の声も上がっています。
日産の工場
リストラ後の日産の未来
今回のリストラ策は、日産にとって大きな転換点となるでしょう。リストラによってコスト削減を図り、新たな成長戦略を打ち出すことができるかが、今後の鍵となります。世界的な自動車市場の変革期において、日産はどのようにして競争力を regained するのか、注目が集まっています。