近年の韓国では、40代男性の未婚率が深刻な社会問題となっています。結婚への意識の変化、AI技術による雇用への影響、そして健康問題の増加など、複雑な要因が絡み合い、将来への不安が広がっています。この記事では、これらの現状について詳しく解説し、韓国社会が直面する課題を探っていきます。
40代男性の4人に1人が未婚!20年間で6.7倍に増加
韓国統計庁の「2024韓国の社会動向」報告書によると、2020年には40代男性の23.6%が未婚という衝撃的な結果が出ています。これは2000年の3.5%からわずか20年間で6.7倍に増加したことを意味します。女性も同様に増加傾向にあり、40代女性の未婚率は2000年の2.1%から2020年には11.9%に上昇しています。
韓国の未婚率のグラフ
晩婚化が進んでいることに加え、結婚に対する肯定的な認識が薄れていることが、未婚率増加の背景にあると考えられています。特に、19~34歳の未婚者では「結婚しなければならない」と考える割合が低く、年齢が上がるにつれてその傾向は強まるようです。国民大学のケ・ボンオ教授は、未婚者の学歴と性別の関係性に着目し、男性は低学歴、女性は高学歴で未婚率が高い傾向があると指摘しています。
AIの進化が雇用に影を落とす?
結婚への意欲は、雇用の安定性と深く関わっています。19~34歳の未婚者を対象とした調査では、男性の80%、女性の70%が結婚の意思があると回答しており、男女ともに学歴や雇用形態が良いほど、結婚への意欲も高いことが明らかになっています。
AIによる仕事の代替
しかし、近年急速に発展しているAI技術は、雇用市場に大きな変化をもたらすと予想されています。ChatGPTなどのAIは、人間の仕事を代替する可能性があり、韓国労働市場では2023年上半期時点で約277万個の雇用がGPTによって代替される可能性があるとされています。これは全体の9.8%に相当します。韓神大学のチョン・ビョンユ教授は、韓国は世界平均に比べてAIによる自動化の影響を受けやすいと警鐘を鳴らしています。
健康問題の深刻化も社会課題に
さらに、韓国では健康問題の深刻化も社会問題となっています。2022年の肥満関連疾患による死亡者は11万2161人で、前年比7.5%増加しました。青少年の肥満率も10年前の2倍近くに増加しており、肥満は深刻な健康リスクとなっています。
肥満関連疾患による死亡者数の増加
高齢者の健康問題も深刻で、65歳以上の外来処方患者におけるポリファーマシー(多剤服用)の使用率は41.8%に達しています。ポリファーマシーは入院リスクを高める要因となることが知られています。また、麻薬類犯罪の検挙者数も10年間で2.8倍に増加しており、社会全体の健康状態が悪化していることが懸念されています。
まとめ
韓国社会は、未婚率の増加、AI技術による雇用への影響、そして健康問題の深刻化という複数の課題に直面しています。これらの問題は相互に関連しており、将来への不安を増大させています。韓国政府は、これらの課題に効果的な対策を講じる必要があるでしょう。