フジテレビを退社した元アナウンサーの渡邊渚さんが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていたことを公表し、テレビ業界の労働環境に注目が集まっています。この記事では、渡邊さんの体験談を通して、テレビ業界、特にアナウンサーの過酷な労働実態に迫ります。
若手アナウンサーの激務と健康問題
渡邊さんは、慶應義塾大学卒業後、2020年にフジテレビに入社。『めざましテレビ』のフィールドキャスターや『もしもツアーズ』のツアーガイドなど、人気番組に次々と抜擢されました。しかし、激務により体調を崩し、2023年7月以降は担当番組を降板。2024年8月末に退社しました。
alt※画像は渡邊渚さんの公式インスタグラムより
「NEWSポストセブン」のエッセイで、渡邊さんは当時の生活を「労働は罰」と感じていたと告白。深夜2時に出社し、朝の情報番組を終えた後も、他の番組収録などで夜遅くまで拘束される日々。翌日も深夜2時出社という過酷なスケジュールだったといいます。有給休暇もまとめて取れない状況で、《あの生活をしていた頃が幸せだったかと聞かれると首肯しがたい》と、当時の働き方に疑問を呈しました。
渡邊さんのケースに限らず、近年、フジテレビの女性アナウンサーの体調不良が相次いでいます。『めざまし8』の小室瑛莉子アナウンサーは生放送中に倒れ、『めざましテレビ』の井上清華アナウンサーや『ノンストップ!』の三上真奈アナウンサーも体調不良による欠席が続いています。
テレビ業界の“特殊な事情”とは?
なぜ、若い女性アナウンサーばかりが体調を崩してしまうのでしょうか。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道氏(仮名)は、テレビ業界特有の事情を指摘します。「テレビ業界は、視聴率獲得のために常に緊張感が高く、不規則な勤務形態になりがちです。特に、生放送の情報番組を担当するアナウンサーは、早朝からの勤務や突発的な出来事への対応など、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。また、視聴者からの厳しい視線やSNSでの誹謗中傷なども、ストレスの一因となっている可能性があります。」
労働環境改善への期待
渡邊さんの告白は、テレビ業界の労働環境を見直すきっかけとなるかもしれません。視聴者も、番組の裏側で働く人々の健康を気遣い、より良い労働環境の実現を期待しています。
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未来への希望
渡邊さんは、現在フリーランスとして活動し、PTSDに関する講演活動などにも取り組んでいます。彼女自身の経験を活かし、社会に貢献しようとする姿は、多くの人々に勇気を与えています。「自分と同じように苦しんでいる人がいるなら、少しでも力になりたい」と語る渡邊さんの今後の活躍に期待が寄せられています。