来年4月から、横浜市が管理する約2700箇所の公園が全面禁煙となります。子育てしやすい環境づくりの一環として実施されるこの施策ですが、一方で喫煙所不足によるポイ捨ての増加や、喫煙者の居場所の減少など、様々な懸念の声も上がっています。横浜市民の声を中心に、禁煙化の現状と課題を探ります。
禁煙化の背景と市民の声
横浜市は、かねてより「子育てしやすい街づくり」を目指し、公園の禁煙化を進めてきました。今年実施されたパブリックコメントでは、約6割の市民が全面禁煙を支持。この結果を受け、市議会は改正公園条例案を可決、来年4月からの施行が決定しました。
alt横浜市が公園全面禁煙化を告知するポスター
しかし、パブリックコメントの内容を詳しく見てみると、全面禁煙に慎重な意見も少なくありませんでした。約3割の市民が分煙環境の整備や禁煙化への反対意見を表明。公園周辺でのポイ捨て増加への懸念や、広大な公園での受動喫煙のリスクの低さ、そして喫煙者も市民であるという観点から、禁煙化よりも喫煙所の増設を優先すべきだという声が多数寄せられました。
喫煙所不足という課題
全面禁煙化に賛成する市民からも、喫煙所の不足を懸念する声が多く上がっています。「禁煙自体は良いことだと思うが、喫煙所がなければポイ捨てが増えるだけではないか」「喫煙者も安心してタバコを吸える場所が必要だ」といった意見が聞かれました。
実際、横浜市内の喫煙所は現状でも不足しており、公園周辺の路上喫煙やポイ捨てが問題となっています。公園が全面禁煙化されれば、この問題はさらに深刻化することが予想されます。
専門家の意見
飲食店経営コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「禁煙化を進めることは重要だが、喫煙者への配慮も忘れてはならない。十分な数の喫煙所を設置し、マナー啓発を行うことで、ポイ捨てなどの問題を軽減できるはずだ」と指摘しています。
今後の展望
横浜市は、公園の全面禁煙化を「市民の声を反映した結果」と説明していますが、喫煙所不足への対策は未だ不十分です。より多くの市民が快適に公園を利用できるよう、市は喫煙所設置の推進やマナー啓発活動の強化など、具体的な対策を早急に講じる必要があります。
alt横浜駅西口付近の喫煙所
横浜市の公園全面禁煙化は、健康増進と子育て支援という重要な目的を持つ一方で、喫煙所不足という大きな課題を抱えています。市がどのようにこの課題を解決し、真に「市民のための公園」を実現していくのか、今後の動向に注目が集まります。