今、ハリウッドで最も注目される女優の一人であるシドニー・スウィーニーが起用されたカジュアルファッションブランド「アメリカン・イーグル」のCMが、米国で大きな物議を醸し、政治家をも巻き込む騒動に発展している。この広告が、特定の表現を巡り「白人至上主義」や「優生学」を想起させるとの批判に直面しているのだ。
物議を醸す「優れた遺伝子」の表現
論争の的となっているのは、複数のバージョンが存在するアメリカン・イーグルの広告スポットだ。あるバージョンでは、「Sydney Sweeney has great genes(シドニー・スウィーニーは優れた遺伝子を持っている)」と書かれた巨大な街頭ポスターが登場する。そのポスターのモデルであるスウィーニー本人と思われるデニム姿の金髪女性(後ろ姿)が、ポスターに近づき「genes」という単語を同音異義語の「jeans(ジーンズ)」に書き換えるという内容だ。
アメリカン・イーグルの広告に登場する女優シドニー・スウィーニー。後方には「優れた遺伝子(genes)」という文字が書かれたポスターが見える。
また別のバージョンでは、スウィーニーがデニム姿で寝そべりながら、「遺伝子(genes)は親から子へと受け継がれる。それがしばしば髪の色、性格、目の色などを決める」と語る場面がある。カメラが彼女の下半身から顔へとパンし、最後に彼女が「私のジーンズ(jeans)は青」と言うと、「Sydney Sweeney has great jeans(シドニー・スウィーニーは優れたジーンズを持っている)」というキャプションが表示される。これらの広告は、スウィーニーのセクシーさを強調し、「genes」と「jeans」の言葉遊びを用いたキャッチコピーを共通して使用している。
優生学との関連性、専門家が指摘
しかし、金髪、青い目、白い肌を持つスウィーニーを「優れた遺伝子を持っている」と表現したことに対し、人々は強く反発した。メジャーネットワークABCの朝番組「Good Morning America」に出演したキーン大学のロビン・ランダ教授は、この表現について「1900年から1940年にかけてアメリカで盛り上がり、白人至上主義を正当化するのに利用された優生学を喚起するもの」だと指摘し、懸念を表明した。
アメリカン・イーグルのCMは、単なる言葉遊びを超え、歴史的な背景を持つ敏感なテーマに触れてしまったとして、現在も論争が続いている。広告表現における多様性と配慮の重要性が改めて浮き彫りとなっている。
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