インボイス制度廃止を訴える声高まる!埼玉県議会が意見書可決、その背景と波紋

埼玉県議会は2024年12月20日、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の廃止を求める意見書を賛成多数で可決しました。制度導入による小規模事業者への負担増や、国の支援策の不備を理由に挙げ、抜本的な解決策として廃止を訴えています。自民党が制度導入を推進してきた経緯もあり、今回の埼玉県の動きは大きな波紋を呼ぶ可能性があります。

埼玉県議会、インボイス制度廃止を政府に求める

自民党県議団、民主フォーラム、共産党、改革会派、そして無所属議員3名が賛成し、意見書は可決されました。自民党県議団の白土幸仁政調会長は、中小企業の負担増が政府の想定をはるかに上回っているとし、地方の声を届ける必要性を強調しました。これは政府への批判ではなく、現場の実情を伝えるための行動だと説明しています。

埼玉県議会の様子埼玉県議会の様子

意見書では、エネルギー価格や原材料費の高騰により、小規模事業者の経営環境が厳しさを増している現状を指摘。インボイス制度導入に伴う事務負担やシステム改修費用などの追加コストは、事業継続の大きな妨げになるとしています。さらに、国の支援策は不十分であり、現状では制度に対応するための負担を求めることはできないと主張。県内経済の活性化のためにも、制度そのものの廃止が最善の策だと結論づけています。

専門家の見解と今後の展望

中小企業経営コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は、「インボイス制度は消費税の公平な徴収を目的としていますが、小規模事業者にとっては大きな負担となっています。特にIT化への対応や事務作業の増加は、経営資源の限られた中小企業にとって深刻な問題です。」と指摘しています。

制度導入による混乱を最小限に抑えるためには、国による十分な支援策が不可欠です。しかし、現状ではその支援は不十分であり、多くの事業者が不安を抱えています。埼玉県議会の動きは、こうした地方の声を政府に届ける重要な役割を果たすでしょう。今後の政府の対応、そして他県への波及効果に注目が集まります。

インボイス制度とは?

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、2023年10月1日から開始された新しい消費税の仕入税額控除の方式です。仕入税額控除を受けるためには、取引先から「適格請求書」を受け取ることが必要になります。

インボイス制度のイメージインボイス制度のイメージ

この制度は、消費税の不正還付を防ぐことを目的としていますが、小規模事業者にとってはシステム対応や事務作業の増加など、新たな負担が生じています。埼玉県議会は、こうした負担の大きさを考慮し、制度の廃止を求める意見書を可決しました。今後の動向に注目が集まります。