高齢者を狙った特殊詐欺が後を絶ちません。巧妙化する手口に騙され、大切な財産を失ってしまうケースも少なくありません。しかし、今回新潟県胎内市で起きた事件では、スーパーの店員の機転と勇気ある行動によって、80代男性が約10万円の被害に遭うのを未然に防ぐことができました。本記事では、その一部始終を詳しくお伝えします。
通信会社からのメールをきっかけに…
事件の発端は、80代男性の元に届いた一通のメールでした。差出人は、男性が実際に契約している通信会社を名乗り、サイト利用料金の未納を通知してきたのです。メールに記載されていた電話番号に連絡した男性は、複雑な説明を受けた後、電話口の男からATMで現金を下ろすよう指示されました。
ATMで現金を引き出そうとする高齢男性のイメージ
男性は言われるがまま、電話を繋いだまま近くのスーパーマーケットへ。ATMで約10万円を引き出そうとしていました。この時、男性は「自分がいつも携帯料金を引き落とししている会社からの連絡だから間違いない」と疑う素振りも見せませんでした。
スーパー店員の冷静な対応が被害を防ぐ
この男性の様子を不審に思ったのが、ウオロク中条店の店員、金子雄太さんでした。通帳が使えないATMに通帳を入れようとしたり、電話をしながら操作する男性を見て、金子さんは異変を感じたのです。「大丈夫ですか?」と声をかけましたが、男性は「問題ないところからの電話なので大丈夫だ」と答えるばかり。
そこで金子さんは、男性の携帯電話に表示されていた電話番号をインターネットで検索。すると、「詐欺」の文字が目に飛び込んできました。金子さんはすぐに上司に相談し、警察に通報しました。
警察到着までの緊迫の攻防
通報後、警察が到着するまでの間も、男性は電話を切ろうとしません。金子さんは男性がどこかに行かないよう、付き添い続けました。そして、ついに警察が到着。電話を代わると、電話口の男は「警察に話すことはない」と言い残し、電話を切りました。これで特殊詐欺であることが確定しました。
今回の事件は、金子さんの機転と迅速な行動が被害を防いだ好例と言えるでしょう。高齢者を狙った特殊詐欺は、巧妙な手口で言葉巧みに誘導するため、被害に遭いやすいのが現状です。日頃から周囲の人々がお互いに気を配り、不審な点があれば声をかけることが重要です。
著名な防犯アドバイザーである田中一郎氏(仮名)は、「今回のケースは、スーパーの店員の迅速な対応が被害を防いだ素晴らしい事例です。日頃から、周囲の高齢者に気を配り、不審な行動があれば声をかけることが重要です。また、高齢者自身も、少しでも怪しいと感じたら、家族や警察に相談する勇気を持つことが大切です。」と述べています。
まとめ
特殊詐欺の手口は日々巧妙化しています。今回の事件のように、一人ひとりが防犯意識を高め、地域全体で高齢者を守ることが大切です。少しでも怪しいと感じたら、迷わず警察や家族に相談しましょう。