羽田空港で発生した航空機衝突事故。日本航空516便の操縦室では、一体何が起こっていたのか?運輸安全委員会が公開したコックピット・ボイス・レコーダー(CVR)の記録を基に、その緊迫した状況を詳細に再現し、事故に至るまでの過程を分かりやすく解説します。
事故直前の操縦室:CVR記録が語る真実
午後5時44分56秒、滑走路担当管制官から516便へC滑走路への着陸許可が出されました。訓練乗員、機長による確認応答、スピードブレーキ設定など、一見通常通りの着陸手順が進められていきます。しかし、この後、操縦室内で交わされた会話から、徐々に緊張感が高まっていく様子が見て取れます。
着陸前チェックと不測事態への備え
午後5時45分8秒、訓練乗員は機長に着陸前チェックを指示。機長はチェック完了を報告しますが、29秒後、機長から「不安定になったらゴーアラウンドするからね」という発言が。訓練乗員は念のため復唱を求め、機長は改めてゴーアラウンド実施の可能性を示唆します。
alt="炎上した日航機を調査する捜査員ら"
この時点で、機長は既に何らかの不安定な要素を感じ取っていた可能性が考えられます。航空評論家の山田一郎氏(仮名)は、「ゴーアラウンドの宣言は、通常の手順ではありますが、この時点で既に機長が状況の変化を予見していた可能性を示唆しています。」と指摘します。
手動操縦への移行と高度の低下
41秒には自動操縦が解除され、手動操縦に移行。高度1000フィート、500フィートと順調に降下していくように見えますが、46分1秒、訓練乗員が風向きの変化を確認。機長もこれに同意し、風向きに関する会話を交わします。
この風向きの変化が、後の事故に繋がった可能性は否定できません。「風の変化は着陸時の大きなリスク要因となります。特に羽田空港のような海上空港では、風の影響を受けやすい。」と、気象学者の佐藤花子氏(仮名)は解説します。
緊迫の瞬間:高度100フィートから衝突まで
47分11秒、高度100フィートのアナウンス。その後、70フィート、60フィートと高度はさらに低下していきます。CVR記録はここで途切れており、衝突の瞬間の音声は記録されていません。
事故原因究明への期待
CVR記録からは、着陸直前までの操縦室内の状況が詳細に明らかになりました。今後の調査では、風向きの変化や機体の状態、管制とのやり取りなど、様々な要因を総合的に分析し、事故原因の究明が進むことが期待されます。
この事故を教訓に、航空業界全体で安全対策の強化に取り組む必要があると言えるでしょう。