米最新鋭駆逐艦「ズムウォルト」に深刻な損傷、横須賀で露呈した米海軍艦艇老朽化の危機

米海軍の最新鋭ミサイル駆逐艦であるズムウォルト級「USSマイケル・モンスーア(DDG-1001)」の損傷した外観が明らかになり、米軍艦艇の老朽化が予想以上に深刻だとの指摘が出ています。日本の横須賀港に停泊中だった同艦の痛々しい姿は、米海軍が直面するMRO(整備・修理・オーバーホール)の課題を浮き彫りにしています。

横須賀で捉えられた損傷の衝撃

今月3日、日本のある軍事系インフルエンサーが、横須賀港に停泊中の「マイケル・モンスーア」の写真をX(旧ツイッター)に投稿しました。写真には、外壁タイルが広範囲に剥がれ落ち、あちこちに錆が見られ、油が漏れたような痕跡が確認できます。この姿を見た日本のネットユーザーからは、「最先端兵器というより、古びた遺物のようだ」といった驚きと失望の声が上がりました。

横須賀港に停泊中の米海軍ズムウォルト級ミサイル駆逐艦マイケル・モンスーア(DDG-1001)の外壁の損傷と錆、油漏れの跡。横須賀港に停泊中の米海軍ズムウォルト級ミサイル駆逐艦マイケル・モンスーア(DDG-1001)の外壁の損傷と錆、油漏れの跡。

米海軍の見解と専門家の分析

米海軍の広報担当者はこの損傷について、「日光や海水、通常の海上作戦による外観上のものに過ぎず、性能には影響しない」と説明しています。しかし、海軍協会の鄭浩燮会長は、「写真に映る黒い液体は艦内の潤滑油系統からの廃油とみられ、外壁の破損はステルス塗料が施されたタイルが剥がれたものだろう」と分析。さらに、「この程度の損傷であれば運用に支障はないものの、現在の米海軍艦艇が整備の大幅な遅れに直面している平均的な姿を示している」と指摘し、事態の深刻さを強調しました。

米造船産業の課題と戦力維持への影響

米国は現在、艦艇の建造能力だけでなく、技術力の低下や熟練工の不足といった基盤の崩壊に直面しており、MRO分野でも深刻な困難に直面しています。米ウォール・ストリート・ジャーナルは4日、「海軍艦艇のMRO遅延はすでに少なくない混乱を引き起こし、軍の戦力維持に大きな支障を来している」と報じています。これは、単なる外観の問題に留まらず、米国の防衛能力そのものに関わる構造的な課題を示唆しています。

韓国とのMRO協力の可能性

このような状況の中、最近の韓米関税交渉で合意された「MASGA(Make American Shipbuilding Great Again)」プロジェクトにより、韓国が米軍艦艇のMRO分野でその能力を発揮する余地が広がるとみられています。米国の造船業界関係者は、「米国が韓国との戦略的協力に大きな期待を寄せていることを最近強く感じる」と語っており、国際的な協力が米海軍の課題解決の一助となる可能性が浮上しています。

まとめ

米海軍最新鋭駆逐艦「マイケル・モンスーア」の損傷は、米軍艦艇の老朽化とMRO体制の構造的な課題を浮き彫りにしました。この問題は、米国の戦力維持に直接的な影響を及ぼす可能性があり、国際的なMRO協力の重要性が増しています。横須賀で露呈したこの問題は、日米同盟にとっても、米国の軍事力維持という点で無視できない現実として認識されるべきでしょう。

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