自民党の小野寺五典政調会長が、いわゆる「年収103万円の壁」を国民民主党が求める178万円にまで引き上げると、「(所得が)2000万円以上の方は30万円以上、実は手取りが増えてしまう」と発言し、SNSで波紋を広げている。
所得税が非課税になる「年収103万円の壁」をめぐっては、自民・公明両党が20日に発表した25年度の「与党税制改正大綱」で123万円に引き上げることが盛り込まれている。
■税収「7~8兆円減」改めて主張、「財源の確保について議論が必要」
注目集めているのは、2024年12月22日放送の番組「日曜討論」(NHK)だ。小野寺氏のほか、立憲民主党の重徳和彦政調会長、国民民主党の浜口誠政調会長、日本維新の会の青柳仁士政調会長、公明党の岡本三成政調会長、共産党の山添拓政策委員長、れいわ新選組の高井崇志幹事長が出演し、「年収103万円の壁」の引き上げなど、重要な政策課題への対策を討論するという内容だった。
小野寺氏は番組で、物価の値上がり率を計算した結果、123万円という数字になったと説明。178万円まで引き上げると、税収が全体で7~8兆円減ることになり、財源の確保について議論が必要だと指摘した。
本来は「今大変なところの層に手取りを増やしてあげたい」
さらに、178万円まで引き上げた場合について、次のように説明した。
「(所得が)400万~500万円くらいの方ですと、3万、4万円くらいの手取りの増えになりますが、逆に2000万円以上の方は30万円以上、実は手取りが増えてしまう。本来私どもはどこに手当をするかというと、今大変なところの層に手取りを増やしてあげたい」
続けて、所得が数千万円の人は30万円ほど増えてもその分を使わないが、小野寺氏の言うところの「大変なところの層」であれば、入ったお金はすぐに使うことが予想されるといい、乗数効果で景気対策にもつながるとした。
Xでは、この「(所得が)2000万円以上の方は30万円以上手取りが増えてしまう」という発言部分が注目され、切り抜き動画が拡散された。「手取りが増えて、何がダメなんか!? 」「増えてええやん。稼いでんだから使ってもらおうよ」「手取りが増えてしまうって完全に手取り増やす気ないやん」など、批判の声が相次いだ。
一方で、小野寺氏の発言の意図について、「富裕層に手取りが増えて必要な低所得者層の恩恵が少ないって話だと思ったけど」「貧富の差が拡大するのがまずいって話でしょ」と指摘する声や「悪意ある切り抜き」だとする意見も上がっている。