韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が、戒厳令宣布に関し、高官犯罪捜査庁(高捜庁)からの出頭要請に再び応じなかったことで、捜査は難航の様相を呈しています。25日午前10時、高捜庁は尹大統領に出頭を要請していましたが、尹大統領は姿を見せず、これは2度目の要請拒否となります。国民の関心は高まり、今後の展開に注目が集まっています。
戒厳令宣布の真相究明は?高捜庁の苦悩
高捜庁、警察などで構成される合同捜査本部は、戒厳令の宣布について内乱などの容疑で捜査を進めています。現職大統領には不訴追特権がありますが、内乱罪は例外とされています。
韓国の尹錫悦大統領
高捜庁関係者は、通常、出頭要請に3回程度応じない場合は裁判所に逮捕状を請求するものの、現職大統領という特殊な立場から「考慮すべき事項が多く、通常のようにならない可能性がある」と述べ、対応の難しさをにらませています。仮に現職大統領が逮捕されれば史上初の事態となります。
弾劾訴追案可決と憲法裁判所審理との兼ね合い
尹大統領は14日に国会で弾劾訴追案が可決され職務停止中ですが、警護などの大統領特権は保持し、ソウルの大統領官邸で生活しています。検察による出頭要請も一度拒否しており、今回の高捜庁の出頭要請拒否も同様の姿勢を示しています。
尹大統領側は、弾劾案可決を受けた憲法裁判所での審理が捜査よりも優先されるべきだと主張しています。憲法裁は27日に第1回の弁論準備手続きを予定しており、今後の捜査の行方は憲法裁の判断にも左右される可能性があります。
専門家の見解
韓国憲法の専門家であるイ・ジョンソク教授(仮名)は、「現職大統領の捜査は前例のない事態であり、法的な解釈や手続きに慎重な検討が必要だ。憲法裁の審理との兼ね合いも考慮し、慎重に進めるべきだ」と指摘しています。
今後の捜査の行方と国民の反応
尹大統領の出頭拒否により、戒厳令宣布をめぐる真相究明は難航が予想されます。高捜庁は今後どのような対応を取るのか、国民の注目が集まっています。
一方、国民の間では尹大統領の対応に対する賛否両論の声が上がっており、今後の政治状況への影響も懸念されています。 今後の捜査の進展、そして憲法裁判所の判断が、韓国政局の行方を大きく左右することになりそうです。