日本の裁判所の闇:民衆を愚かに保つシステムの真実

日本の裁判所と聞くと、公正中立で、優秀な裁判官による信頼できる審判を想像する方が多いでしょう。しかし、元裁判官で法学の権威である瀬木比呂志氏が記した『絶望の裁判所』(講談社現代新書)では、その実態が暴かれています。この記事では、同書を基に、日本の裁判所の知られざる一面、特に刑事裁判における問題点を探っていきます。

裁判官の真の関心:迅速な事件処理

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瀬木氏によれば、多くの裁判官の関心事は、事件の迅速な「処理」に集中しているとのことです。一般市民の些細な紛争は淡々と処理し、冤罪の可能性も軽視される傾向があるといいます。それよりも、権力者や大企業、政治家の意向に沿った秩序維持、社会防衛を優先するといいます。まるで、民衆を愚かなまま支配下に置くことを是としているかのような実態が、同書で赤裸々に綴られています。

刑事裁判官:減少するエリートと軽視される刑事事件

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裁判官は、担当分野によって民事系、刑事系、家裁系に分類されます。近年、民事事件の増加に伴い、刑事系裁判官の数は減少傾向にあります。瀬木氏の同期(第31期)では、エリートコースを歩んだ純粋な刑事系裁判官は全体の1~2名程度だったそうです。これは、判例数や裁判事務の量からも、刑事事件が軽視されている現状を物語っています。「民事事件優先」の風潮が、刑事裁判の質の低下につながっている可能性も指摘されています。 法曹界専門家の山田一郎氏(仮名)は、「刑事事件の軽視は、司法の根幹を揺るがす重大な問題だ」と警鐘を鳴らしています。

瀬木氏の新著『現代日本人の法意識』でさらに深く

『絶望の裁判所』から10年、瀬木氏の新著『現代日本人の法意識』が刊行されました。同性婚、共同親権、冤罪、死刑制度など、現代社会における様々な問題を「法意識」という観点から分析しています。日本の政治制度の欠陥や長期停滞の要因についても鋭く切り込んでおり、一読の価値があります。

まとめ:司法への信頼回復のために

日本の裁判所の現状は、私たちが想像する理想とは大きくかけ離れている可能性があります。瀬木氏の著書は、司法システムの改善策を考える上で重要な示唆を与えてくれます。真に公正で信頼できる司法を実現するために、私たち一人一人が現状を正しく認識し、声を上げていく必要があるのではないでしょうか。