投開票まで3日となった参議院選挙では、全国32の改選定数1の「1人区」で与党・自民党の苦戦が目立っています。中でも長年の「保守王国」と呼ばれてきた岡山県では、現職の引退表明により新人4人による熾烈な議席争いが展開され、選挙戦に異変が生じています。この激戦区の動向は、選挙全体の勝敗を左右する重要なカギを握ります。
参議院選挙岡山選挙区での激しい選挙戦の様子
「保守王国」岡山で自民党が直面する苦戦
「日本国中、本当に厳しい選挙を我々戦っている。ぜひ、お力を貸してください」――石破茂総理大臣が全国の激戦区で自民党への支持を呼びかける中、立憲民主党の野田佳彦代表は岡山選挙区を「激戦区の中の激戦区」と評しています。全国32の「1人区」で大きく負け越せば、与党の参議院過半数割れが現実味を帯びるため、各党は総力を挙げています。
長年自民党が強固な地盤を築いてきた「保守王国」岡山でも、今回の参院選は過去にない様相を呈しています。現職の引退を受け、自民党の小林孝一郎候補(47)、立憲民主党の国友彩葉候補(33)、参政党の広森志穂候補(34)をはじめとする新人4人が、1つの議席を巡り火花を散らしています。
引退する自民党現職からバトンを受け継いだ元岡山県議会議員の小林孝一郎候補は、医師としての経験を原点に政治を志したと語ります。「高額療養費制度の壁によって、17歳の少年の命を救えなかった。本当の命を救うためには、制度を変えなければならない」と訴え、医療・介護の充実や地方創生を公約に掲げています。しかし、去年の衆院選で岡山県内の自民党が1議席を失うなど、党の裏金問題の影響による「逆風」を肌で感じており、「とても厳しい戦いです」と語る一方で、「今回の選挙は政権選択選挙という意味合いもある。政治に空白や停滞は許されない」と強い覚悟を示しています。
参議院選挙岡山における第三極勢力の動向と新興政党の期待
子育てと政治を両立:立憲民主党・国友候補の挑戦
「保守王国」岡山の牙城に切り込むのが、立憲民主党から出馬する国友彩葉候補です。中学の理科教師を経て、2年前に岡山市議会議員に初当選した国友候補は、現役の子育て世代として、教育・子育て政策の充実を強く訴えています。3歳と5歳の子どもを持つ母親の立場から、「日本で子どもを産むにはしんどい状況です。子どもを産めるような環境づくり、あきらめない環境づくりに私が取り組みます」と力説します。
彼女の選挙運動は、子育てとの両立のため、原則として午前9時から午後6時までに制限されている点が特徴です。「私が先陣を切ることで、同じような方、介護や育児をされている方でも、当事者の声が届きにくい環境の中で届けたいという思いがずっとあり、ここはぶれずに6時までを貫いている」と語り、自らの実践を通じて、介護や育児に携わる人々の声を政治に届けたいと願っています。「日本中の子どもを私の子どもだと思い、皆さんの生活は私の生活だと思い、その声をすべて受け止め、国の中心へと届けたい」という言葉には、彼女の強い決意がにじみ出ています。
激戦の岡山、その行方が示すもの
今回の参議院選挙における岡山1人区の戦いは、単なる議席争いに留まらず、長年の「保守王国」岡山に変化の兆しが訪れていることを示唆します。自民党の逆風、そして子育て世代など多様な背景を持つ新人候補たちの挑戦は、有権者の選択肢を広げ、政治への関心を高めています。この熾烈な戦いの行方は、岡山県の未来、ひいては日本政治の動向にも大きな影響を与えるでしょう。