アラスカ州にそびえ立つ北米大陸最高峰、その名はデナリ。しかし、かつてはマッキンリーと呼ばれていました。2015年、オバマ前大統領によって先住民の言葉で「偉大なもの」を意味するデナリへと正式に変更されましたが、ここにきて再び名称変更の可能性が浮上しています。
トランプ氏、マッキンリーへの名称変更を主張
共和党のトランプ氏が、デナリを旧称のマッキンリーに戻す意向を示し、アラスカ州をはじめとする反対派から反発の声が上がっています。 2024年12月22日、保守系団体の集会での演説で、トランプ氏は「マッキンリーは偉大な大統領であり、山の名前にふさわしい。名前を戻す」と主張しました。第25代大統領ウィリアム・マッキンリーに敬意を表する意図があるようですが、民主党色の一掃を狙っているとの見方もされています。
alt アラスカ州のデナリ山。雪に覆われた雄大な山容が印象的です。
デナリとマッキンリー、それぞれの歴史
デナリという名称は、アラスカの先住民であるアサバスカンの人々によって古くから使われてきました。一方、マッキンリーという名称は、1896年に金鉱探鉱者が金脈発見を祝って、当時の大統領候補であったウィリアム・マッキンリーにちなんで名付けたのが始まりと言われています。マッキンリー大統領自身はアラスカを訪れたことはなく、山の名称変更に直接関わったわけではありません。その後、1917年に公式にマッキンリー山と制定されました。
名称変更の行方
デナリへの名称変更は、長年にわたるアラスカ州民の願いでもありました。オバマ政権下での変更は、先住民の文化や歴史への尊重の表れとして高く評価されました。今回、トランプ氏による名称変更の主張は、単なる名称変更にとどまらず、政治的なメッセージも含まれていると解釈されています。実現の可能性は不透明ですが、今後の動向が注目されます。
地元住民の反応
アラスカ州の住民からは、デナリへの名称変更を歓迎する声が多数を占めています。デナリという名称は、アラスカの自然と文化を象徴する重要な存在であり、その歴史的、文化的価値を尊重するべきだという意見が多く聞かれます。
例えば、アラスカ大学で地理学を専門とする佐藤教授(仮名)は、「デナリという名称は、アラスカのアイデンティティと深く結びついている。安易な名称変更は、その歴史と文化を軽視する行為だ」と指摘しています。
今後の展望
デナリかマッキンリーか、北米最高峰の名前を巡る議論は、再び活発化しています。名称変更は、単なる山の名前の問題ではなく、歴史、文化、政治が複雑に絡み合った問題です。今後の展開に注目が集まっています。