ロシア連邦保安庁(FSB)は、ウクライナ情報機関によるロシア高官とその家族を狙った暗殺未遂計画を阻止したと発表しました。モスクワで緊張が高まる中、FSBの発表内容と事件の背景を詳しく見ていきましょう。
FSBの発表:モバイルバッテリー型爆弾も使用か
FSBによると、ウクライナ情報機関はモスクワで複数のロシア高官とその家族を殺害しようと計画していました。計画には、モバイルバッテリーや書類フォルダーに見せかけた爆弾を使用する予定だったとのことです。FSBは、この計画に関与したロシア国籍の容疑者4人を拘束し、ウクライナ情報機関に雇われていたと発表しました。
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計画の巧妙さとFSBの対応
容疑者らは、国防省幹部の公用車の下にモバイルバッテリー型爆弾をマグネットで取り付けたり、書類フォルダー型爆弾を配達したりする計画だったとされています。FSBは、容疑者らが爆弾の回収や高官の偵察に関与していたと説明しています。ロシア国営テレビでは、拘束された容疑者がウクライナ情報機関に雇われたことを認める映像が放映されました。
ウクライナ側の主張とこれまでの暗殺事件
ロシアは、国内で発生した一連の暗殺事件についてウクライナが関与していると主張し、西側諸国がウクライナの「テロリスト体制」を支援していると非難しています。一方、ウクライナは、ロシアの侵攻によって国家の存続が脅かされているため、標的を限定した暗殺は正当な手段だと反論しています。
ドゥーギン氏娘暗殺事件との関連は?
今年8月には、ロシアの民族主義思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏の娘ダリア氏がモスクワ郊外で自動車爆弾によって殺害される事件が発生しました。米紙ニューヨーク・タイムズは、米情報当局がウクライナ政府の一部がこの攻撃を承認したと判断したと報じています。今回の暗殺未遂計画とドゥーギン氏娘暗殺事件との関連性は明らかになっていませんが、ウクライナとロシアの緊張関係をさらに悪化させる可能性があります。
モスクワの緊張と今後の行方
今回のFSBの発表は、ウクライナとロシアの対立が激化する中で行われました。FSBは、ウクライナ情報機関による更なる攻撃の可能性もあるとして警戒を強めています。今後の展開次第では、両国間の緊張がさらに高まり、国際社会への影響も懸念されます。セキュリティ専門家の田中一郎氏は、「今回の事件は、ウクライナとロシアの諜報戦が激化していることを示している。今後、更なる報復やエスカレーションの可能性も排除できない」と指摘しています。