シリア内戦終結の象徴とも言えるアサド政権の崩壊。その陰で、多くの人々が想像を絶する苦しみを味わっていた。今回jp24h.comは、アサド政権崩壊に伴い解放された元囚人に独占インタビューを実施。ダマスカス郊外のアドラ刑務所の実態を明らかにしていく。過酷な拷問、劣悪な環境、そして希望を失った人々の叫び… 決して目を背けてはいけない現実がここにある。
薬剤師から囚人へ:ボランティア活動が招いた悲劇
ダマスカス出身のバセル氏(38歳、仮名)は、かつて薬剤師として難民支援に尽力していた。廃校を利用したシェルターに医薬品を提供するなど、困窮する人々にとって希望の光のような存在だった。しかし、その活動がアサド政権の目に留まり、「テロリストへの資金援助」という濡れ衣を着せられ逮捕。転々とした留置所を経て、アドラ刑務所に収容されることとなった。2021年には禁錮21年6ヶ月の実刑判決。絶望の淵に立たされたバセル氏の悪夢のような日々が始まった。
元囚人のバセル氏
拷問と絶望:人間の尊厳を踏みにじる日々
アドラ刑務所では、想像を絶する拷問が日常的に行われていた。バセル氏は、「シャバハ」と呼ばれる拷問で、つま先立ちのまま両手を天井から吊るされ、数時間にわたって暴行を受けた。また、「ホイール」と呼ばれる拷問では、両手を縛られ車輪の中に固定された状態で鞭打ちを受けたという。
バセル氏自身も薬剤師としての知識を活かし、刑務所内の診療室で他の囚人の治療にあたっていた。拷問による重傷者、意識不明者、そして絶望の果てに自殺未遂を図る人々… そこで目にしたのは、人間の尊厳を踏みにじられた現実だった。
劣悪な環境:ネズミと隣り合わせの独房生活
バセル氏は看守に賄賂を渡して携帯電話を手に入れたが、発覚して独房送りとなった。本来1人用の独房に6人が押し込められ、窓もなく寝具もない極限状態。排泄は他の囚人の目の前で、衛生環境は劣悪を極めた。食事は腐りかけの食べ物が入ったボトルが1日1回配られるのみ。ネズミが蔓延し、空腹のネズミは囚人を襲うことさえあったという。バセル氏は、夏は10日間、冬は5日間、この地獄のような独房で過ごした。
解放の喜びと心の傷:未来への希望と課題
2024年12月8日、反政府勢力がアドラ刑務所に突入。バセル氏は解放された。アサド政権崩壊という奇跡を目の当たりにし、まるで夢を見ているようだったという。しかし、長年の地獄のような生活は深い心の傷を残した。バセル氏のように、精神的なケアを必要とする元囚人は少なくない。シリア内戦の終結は新たなスタート地点。今こそ、彼らへの支援が求められている。
料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「過酷な環境でも生き抜いたバセルさんの精神力は本当に素晴らしい。彼のような方々が安心して生活できる社会を築いていかなければなりません」と語っている。
まとめ:シリアの未来のために
バセル氏の証言は、シリア内戦の残酷な現実を改めて私たちに突きつける。アサド政権崩壊は大きな前進だが、それは同時に、新たな課題への出発点でもある。苦難を乗り越えた人々の心のケア、そして平和な社会の再建。シリアの未来のために、私たちは何ができるのか、真剣に考えなければならない。