特別支援学校ってどんなところ?どんな授業をしているの? 知的障害のある子どもたちの学び舎で10年間教師として働く私が、その魅力と日々の奮闘をお伝えします。
特別支援学校の一日
まずは、特別支援学校のある一日を覗いてみましょう。(※自治体や学校によって異なります)
始業と共に朝会を行い、スクールバスが到着。1時間目は「日常生活の指導(日生)」。着替えや清掃、係活動など、子どもたちの自立を支援する大切な時間です。2時間目は「体力づくり」。校外を歩く際には交通マナーの学習も兼ねており、高等部ともなると数キロのランニングを行う生徒もいます。
3時間目以降は国語、数学、体育、美術、家庭など、一般的な教科に加え、自立活動、生活単元学習、作業学習といった特別支援学校ならではの授業も展開されます。放課後は、会議や授業準備、教材研究など教師の業務が続きます。
特別支援学校の教室で子どもたちが学習している様子
教科書のない授業:子どもたちのニーズに合わせたオーダーメイド教育
特別支援学校では、事実上教科書がありません。つまり、「何を教えるか」は明確に決まっておらず、教師の創造性が問われます。
保護者のニーズをベースに、子どもたちが自立した社会生活を送るために必要な知識やスキルを教えます。例えば、高等部では「電子マネーの使い方」「携帯電話の料金プラン」「詐欺メールへの注意」といった実践的な授業も行いました。
“子どもたちが出来るはずなのに出来ていないこと”、”子どもたちに知ってほしいのに知らないこと”、それが授業づくりのコンセプトです。
特別支援学校の教師が子どもに寄り添って指導している様子
コミュニケーションの工夫:絵カードやタブレットを活用
うまく話せない、文字を書くのが苦手な子どもたちのために、絵カードやタブレットを活用したコミュニケーション支援も行っています。
子どもたちには、多くの苦手なことやできないことがあります。しかし、「どうしてできないんだ!」と叱責するのではなく、「どうやったらできるかな?」と考えることが私たちの使命です。
個別指導計画:一人ひとりの成長をサポート
一人ひとりの子どもに合わせた「個別の指導計画」を作成し、達成目標、支援方法、評価を明確にしています。
周りの子どもたちは関係ありません。その子だけのオーダーメイド教育です。全員が同じテストを受けて点数で評価されるのではなく、その子のペースや理解度に合わせて、必要なことを必要な時に教えます。
特別支援学校の魅力:クリエイティブでやりがいのある現場
困難な課題も多いですが、クリエイティブで、少人数制だからこそ一人ひとりと向き合える特別支援学校は、私にとってかけがえのない場所です。
教育専門家である山田先生(仮名)も、「特別支援教育は、子どもたちの可能性を最大限に引き出す、非常にやりがいのある仕事です。」と述べています。
特別支援学校の子どもたちが笑顔で活動している様子
特別支援教育の未来:すべての先生にとって大切な知識
近年、通常学級にも発達障害の可能性のある子どもたちがいると言われています。どの校種の先生にとっても、特別支援教育は決して他人事ではありません。
特別支援学校での経験は、すべての子どもたちの成長を支える上で貴重な財産となるでしょう。
さいごに
特別支援学校での日々の挑戦と喜び、そして子どもたちの成長を見守る感動を、少しでも感じていただけたら嬉しいです。