兵庫県知事選挙で斎藤元彦氏が再選を果たしました。しかし、その陰には、職員たちの不安な声が隠されていることをご存知でしょうか。NHK「クローズアップ現代」で放送された職員30人の告白から、県庁内の「もの言えぬ空気」の実態に迫ります。
職員を縛る「特定」への恐怖
番組に登場した職員たちは、匿名で、声はボイスチェンジャーを使用し、顔だけでなく手までも隠して証言していました。これは、職員たちが「特定」されることを極度に恐れていることの表れです。内部告発者探しが行われ、亡くなった元県民局長にも執拗な追及が行われていたという証言からも、その恐怖の深さが伺えます。職員たちは、声を上げることで自身のキャリアや生活に影響が出ることへの不安を抱えているのです。
職員の証言の様子。匿名性を保つため、顔だけでなく手も隠されている。
「問題だらけの調査」の実態
番組では、元県民局長に対する県庁側の対応も取り上げられました。告発文書を作成した元局長に対し、片山安孝前副知事が高圧的な態度で聞き取り調査を行った音声記録が公開されました。元局長は「噂」と答えるしかありませんでしたが、親交のあった職員は、元局長が確かな情報源から得た情報に基づいて文書を作成していたと証言しています。
真実を歪める恣意的な調査
県は、元局長の告発文書を「噂話」として片付けましたが、かつて人事課にいた職員は、この調査を「恣意的で言葉尻を捉えたもの」と批判しています。真実を明らかにしようとするのではなく、告発者を追及することに重点が置かれた調査だったと言えるでしょう。
県政の透明性を取り戻すために
斎藤知事の再選は、県民からの信任の表れである一方、県庁内の「もの言えぬ空気」を払拭し、透明性のある県政運営を実現することが求められています。職員の声に耳を傾け、風通しの良い組織づくりを進めることが、県民の信頼回復につながるのではないでしょうか。
著名な行政学の専門家である、京都大学大学院の山田教授(仮名)は、「組織内部の声を軽視することは、組織全体の健全性を損なう危険性がある」と指摘しています。職員が安心して声を上げられる環境を整備することが、より良い県政の実現には不可欠です。