務安国際空港で起きた済州航空機の着陸失敗事故。多くの乗客が巻き込まれる中、タイ人女性ジョンラック・ドゥアンマニーさん(45歳)の悲劇的な物語がタイ東北部ウドンタニ県から届いています。事故の数日前、一時帰国していたジョンラックさんは父親に1万バーツ(約4万5000円)を手渡しました。「将来、私の火葬に使って」という言葉と共に。しかし、このお金がまさか娘の葬儀費用になるとは、父親は想像もしていなかったでしょう。
務安国際空港の悲劇、タイ人女性に何が起きたのか
ジョンラックさんは韓国で7年間働き、年に一度タイへ帰国していました。今回の帰国も12月初旬に韓国人の夫と共に一時帰国し、29日の便で韓国へ戻る予定でした。夫は数日前に先に帰国していた矢先の出来事でした。
韓国南西部の務安国際空港で炎上する旅客機
突然の訃報を受け、77歳になる父親は深い悲しみに暮れています。海外で働く他の子どもたちから連絡を受け、末娘のジョンラックさんが事故機に乗っていたことを知りました。「ニュースでしか聞いたことのないような事故。ショックが大きく、涙が枯れ果てた」と地元メディアに語りました。
娘の葬儀費用となった最後の贈り物、そして帰国への願い
ジョンラックさんから手渡された1万バーツ。それは将来の火葬費用として託されたものでした。しかし、それが現実のものとなってしまった悲劇に、父親は「本当に娘の葬儀をあげることになるとは思ってもみなかった」と無念さをにじませています。そして、「娘をなんとかタイに帰国させ、最後にもう一度だけ顔を見たい」と、涙ながらに訴えました。
もう一人のタイ人搭乗者
今回の事故には、ジョンラックさんの他にバンコク在住の大学生(22歳)も搭乗していました。彼は韓国にいる母親を訪ねる予定だったといいます。二人のタイ人乗客の突然の死は、多くの人の心を痛めています。
タイ料理研究家のソムチャイ・チャイヤブット氏(仮名)は、「海外で働くタイ人にとって、一時帰国は家族との貴重な時間。このような事故で命を落とすことは本当に悲しい。故人の冥福を祈ると共に、残された家族への支援が必要です」と語っています。
この事故は、改めて航空安全の重要性を私たちに問いかけています。