済州航空、務安空港で滑走路逸脱事故:専門家が外壁衝突を問題視

済州航空の旅客機が務安国際空港で着陸時に滑走路を逸脱し、空港の外壁に衝突するという痛ましい事故が発生しました。181人の乗客乗員の安否が心配される中、事故原因の究明が急がれています。今回は、この事故について詳しく見ていき、英国の航空安全専門家の見解も交えて解説します。

事故の概要:済州航空機、着陸時に滑走路逸脱

2024年12月29日午前、タイ・バンコク発の済州航空旅客機が韓国・全羅南道務安国際空港に着陸を試みた際、滑走路から逸脱し、空港の外壁に衝突しました。機内には乗客乗員181人が搭乗しており、軍や救急隊員による懸命な救助活動が行われました。

済州航空機が務安国際空港で滑走路を逸脱し、外壁に衝突した事故現場の様子済州航空機が務安国際空港で滑走路を逸脱し、外壁に衝突した事故現場の様子

専門家の見解:滑走路端の外壁が致命傷か

英国の航空安全専門家、リア・マウント氏は、この事故について、滑走路端の外壁との衝突が致命的な原因であったと指摘しています。マウント氏は元英国空軍パイロットであり、飛行教官、航空問題専門家として豊富な経験を持つ人物です。

マウント氏によると、パイロットは困難な状況下で非常に適切な着陸操作を行ったと評価しています。ランディングギア(車輪)が作動しないまま高速で進入してきた機体を、地面を滑らせるように着陸させようとした操縦技術は賞賛に値すると述べています。

しかし、滑走路端からわずか323メートルの位置に設置された外壁が、この事故の被害を拡大させた可能性が高いとマウント氏は指摘します。通常、滑走路周辺には安全地帯が設けられており、このような構造物が設置されることは極めて稀です。

外壁がなければ生存の可能性は高かった?

マウント氏は、もし外壁がなければ、飛行機は滑走路を突き抜けても周囲の野原で停止し、乗客の生存率は格段に高かったであろうと推測しています。速度を落とすための十分な空間があったにもかかわらず、外壁との衝突が致命傷となった可能性が高いと分析しています。

着陸前の済州航空機の右エンジンから炎が出ている様子着陸前の済州航空機の右エンジンから炎が出ている様子

事故原因究明と再発防止策

現在、韓国当局は事故原因の徹底的な調査を進めています。パイロットの操縦ミス、機体の故障、空港の安全管理体制など、様々な角度から検証が行われる予定です。今回の事故を教訓に、航空安全の向上に向けた対策が講じられることが期待されます。

今回の事故は、航空安全における様々な課題を浮き彫りにしました。滑走路周辺の安全確保、緊急時の対応体制、そしてパイロットの訓練など、多岐にわたる対策が必要不可欠です。二度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、関係機関の迅速かつ適切な対応が求められています。