「消費者視点」の新観光都市指標で大阪が世界1位 ソウルは5位、日本勢が上位独占

世界には数多くの魅力的な観光都市が存在しますが、旅行者が「本当に訪れたい」と感じる都市はどこなのでしょうか。この問いに、観光インフラや行政サービス中心の従来の評価とは異なる、「消費者の実際の体験と認識」を定量化した新しい指標が登場し、注目を集めています。

韓国で初めて開発された「グローバル観光都市魅力度指標」は、世界の主要都市を消費者視点で評価するという画期的な試みです。この指標は、ヤノルジャリサーチ、米パデュー大学CHRIBA研究所、慶熙大学H&Tアナリティクスセンターによって共同開発され、2025年版の評価結果が7月2日にソウルのaTセンターで発表されました。

新指標の概要と評価方法

本指標の最大の特徴は、その評価基準が消費者の声に基づいている点です。ソーシャルメディアやオンライン記事など、200万件以上のビッグデータを収集・分析し、美観・自然、歴史・文化、体験コンテンツ、ホスピタリティの4つの主要部門と、それぞれに紐づく20以上のサブ項目で構成されています。これにより、実際の旅行者の経験や都市に対するイメージが、評価結果にダイレクトに反映される仕組みとなっています。評価対象は世界の191都市に及び、各指標を100点満点で換算した総合スコアでランキングが算出されました。

主要都市のランキング結果

韓国ソウルで行われたグローバル観光都市魅力度指標発表会の様子韓国ソウルで行われたグローバル観光都市魅力度指標発表会の様子

この新しい指標による総合ランキングで、日本の大阪が世界1位に輝きました。韓国のソウルは5位にランクインしています。

特に注目されるのは、日本の都市の強さです。トップ20の中に、大阪(1位)のほか、京都(3位)、東京(12位)、福岡(11位)、沖縄(10位)、札幌(18位)と、実に6都市が名を連ね、上位層を独占する形となりました。一方、韓国からはソウル(5位)、済州(16位)、釜山(23位)の3都市がトップ50以内にランクインするに留まりました。

部門別の評価

部門別の評価を見ても、日本の都市、特に大阪の強さが際立ちます。体験型コンテンツ部門では大阪が1位、ソウルが2位でした。ホスピタリティ部門でも大阪が1位を獲得し、ソウルは3位でした。美観・自然部門では、日本の6都市がトップ15に入るなど高い評価を得る中、ソウルは6位、済州は7位に入っています。歴史・文化部門に関する詳細な順位は示されていませんが、全体として日本の多様な都市が高い総合力を見せた結果と言えます。

専門家による分析

慶熙大学のチェ・ギュワン教授は、今回の結果について「日本の都市はそれぞれが独自のコンセプトと体験戦略を持っており、これが総合力として現れた」と分析しています。対照的に、韓国の都市については「潜在力はあるものの、ブランド戦略や、旅行者が長く滞在したくなるような滞在型コンテンツの設計にさらに磨きをかけるべき時期に来ている」と指摘しました。この分析は、消費者視点という新指標が示す示唆深い結果の背景を説明しています。

結論

今回発表された「グローバル観光都市魅力度指標」は、従来のインフラ偏重型とは異なる、旅行者の実際の体験に基づいた評価として、観光戦略を練る上で重要な示唆を与えます。大阪が世界1位となり、日本の多くの都市が上位にランクインしたことは、各都市が持つ独自の魅力や体験提供能力が、消費者の心に響いていることを示しています。一方で、韓国の都市がさらなる競争力強化のためには、戦略的なブランディングと滞在価値の向上が求められるという専門家の意見も、今後の観光開発における課題を浮き彫りにしています。