イーロン・マスク氏、新党「アメリカ党」結成を表明 トランプ政権との対立深まる

米実業家イーロン・マスク氏は5日、自身のSNS「X」を通じ、新党「アメリカ党」を結成したと表明しました。マスク氏は、トランプ米大統領が推進した大型減税法案などへの批判を背景に、来年11月の中間選挙で議席を獲得し、米国の二大政党制の中で「キャスチングボート」を握ることを狙っているとみられます。

減税法案への批判と新党結成の理由

マスク氏はXへの投稿で、トランプ氏の強い影響下で共和党が反対を押し切って法案を成立させた状況を厳しく批判しました。「我々はもはや民主主義体制ではなく、無駄遣いと汚職によって破産寸前の一党支配体制の下にある」と述べ、新党結成の動機を「自由を取り戻す」ことにあると説明しています。具体的な党メンバーや政策の詳細は現時点では明らかにされていません。

第三政党の挑戦とマスク氏の戦略

米国では小選挙区制が採用されており、二大政党以外が議席を獲得するのは一般的に困難です。しかし、マスク氏は一部の保守層からの高い人気と莫大な資金力を背景に、この状況を覆すことを目論んでいます。

4日のX投稿では、中間選挙で獲得を目指す具体的な議席数に言及しており、上院で2~3議席、下院では8~10議席に絞って活動を展開する可能性を示唆しています。

議会での潜在的影響力

現在、連邦議会は上下両院ともに共和党が多数派ですが、民主党(上院は民主党系無所属含む)との議席差は僅かです。「アメリカ党」が数議席でも獲得できれば、法案の採決や人事案の承認など、重要な局面で大きな影響力を持ち得る可能性があります。

トランプ政権との関係の変化

マスク氏は、第2次トランプ政権の発足当初、「政府効率化省」の事実上の責任者として、連邦政府機関の縮小や人員削減に関与していました。しかし、5月に政権から離脱して以降、大型減税法案を強く非難し、トランプ氏との対立を深めていました。法案に賛成した共和党議員を落選させる運動を行う意向も示唆しています。

イーロン・マスク氏がトランプ米大統領の閣議に出席する様子。政権との関係性を示す写真。イーロン・マスク氏がトランプ米大統領の閣議に出席する様子。政権との関係性を示す写真。

新党設立への世論調査結果

マスク氏は4日、X上で新党設立の是非を問うアンケートを実施しました。約125万件の回答があり、結果は賛成65.4%、反対34.6%でした。この結果を受け、マスク氏は「2対1の割合で、皆さんは新しい政党を望んでおり、その願いはかなうだろう!」と投稿しています。

世論調査で示された強い支持を背景に、イーロン・マスク氏は米国政治における新たな第三極として「アメリカ党」を設立し、次期中間選挙での議席獲得を通じて大きな影響力を行使することを目指しています。

参考資料:https://news.yahoo.co.jp/articles/96d8019e10276a1297414d0b89999c039c77dcc0