チェジュ航空、度重なる整備遅延と高稼働率…安全への懸念が現実味を帯びる務安空港事故

韓国のチェジュ航空で発生した務安国際空港での着陸失敗事故。この事故をきっかけに、以前から指摘されていた同社の整備遅延や高稼働率といった安全面への懸念が改めて浮き彫りとなりました。jp24h.comでは、この問題について深く掘り下げ、今後の航空安全について考えます。

国政監査でも指摘されていた整備遅延問題

10月の韓国国会の国政監査で、チェジュ航空の頻繁な整備遅延による安全問題が指摘されていたことが明らかになりました。韓国国土交通部が国会に提出した資料によると、チェジュ航空の整備遅延率は1%と、大韓航空やアシアナ航空の0.5%未満と比べて高い数値を示しています。国土交通部はチェジュ航空の常時点検回数を2倍に増やし、安全管理を強化していると回答しましたが、その効果のほどは疑問視されています。

整備遅延の原因とその影響

2023年1月から5月までのチェジュ航空の運航データを見ると、9万2948回の運航のうち923件で整備遅延が発生。その主な原因は予防点検(34%)、代替機不足、定期点検、航空機欠陥解消、機体損傷と多岐にわたります。

務安国際空港の滑走路で着陸に失敗した旅客機の様子。キム・ギョンロク記者撮影務安国際空港の滑走路で着陸に失敗した旅客機の様子。キム・ギョンロク記者撮影

専門家の間では、整備遅延は航空機事故の予兆となる可能性があるとの指摘も出ています。「航空安全研究所」のキム・スチョル氏(仮名)は、「些細な整備不良の積み重ねが、重大な事故につながる可能性がある。整備遅延の背景にある問題点を徹底的に究明し、再発防止策を講じる必要がある」と警鐘を鳴らしています。

高稼働率による機体疲労の懸念

国政監査では、チェジュ航空の高い航空機稼動率についても懸念が示されました。チェジュ航空の7-9月期の月平均旅客機運航時間は418時間と、韓国の航空会社6社の中で最も長く、機体の疲労蓄積による安全への影響が懸念されています。今回の事故を起こした航空機も、過去48時間に13回も飛行しており、高稼働率が事故の一因となった可能性も否定できません。航空機の専門家であるパク・ミンホ氏(仮名)は、「高稼働率は航空会社の収益向上には貢献するが、同時に機体への負担も増大させる。適切な整備と点検が不可欠だ」と指摘しています。

安全と収益のバランス

航空会社にとって、安全と収益のバランスは重要な経営課題です。過度なコスト削減や高稼働率は、安全性を犠牲にすることにつながりかねません。チェジュ航空は、今回の事故を教訓に、安全管理体制を強化し、乗客の安全を最優先に考えた運航を行う必要があります。

今後の航空安全に向けて

国土交通部は、チェジュ航空に対して強力な航空安全点検を実施する方針を明らかにしました。しかし、真の安全確保のためには、航空会社自身による意識改革と、国による厳格な監督体制の構築が不可欠です。私たち消費者も、航空会社の安全への取り組みを注視し、安全意識を高めていく必要があります。