アゼルバイジャン航空の旅客機墜落事故。発生から数日、真相解明に向けた動きが加速する一方で、アゼルバイジャンとロシアの間には深い溝が生まれているようです。今回は、アリエフ大統領のロシアへの不信感表明と、今後の調査の行方について詳しく見ていきましょう。
アリエフ大統領、ロシアの説明に「ばかげている」と一蹴
2024年12月29日、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、カザフスタンで発生したアゼルバイジャン航空旅客機墜落事故に関して、ロシア側の対応に強い不満を表明しました。アリエフ大統領は自国テレビのインタビューで、「墜落から3日間、ロシアからはばかげた説以外、何も聞こえてこなかった」と述べ、ロシア側の初期対応の遅さと説明内容への不信感を露わにしました。
アゼルバイジャン・バクーでインタビューに応じるアリエフ大統領
アリエフ大統領は初期調査の結果として、旅客機がロシア南部チェチェン共和国のグロズヌイ上空で地上からの攻撃を受け、機体後部が激しく損傷したと説明。さらに電子戦システムの影響も受けて制御を失ったと主張しました。一方でロシア側からは、鳥との衝突やガスボンベの爆発といった説が提示されたと指摘し、これらの説明を「ばかげている」と一蹴しました。
ロシア主導の調査機関への不信感
アリエフ大統領は、ロシア側から旧ソ連諸国で構成される国家間航空委員会による調査の提案があったものの、これを拒否したことも明らかにしました。同委員会はロシア政府関係者が多数を占めるため、「客観性が満たされない可能性がある」と判断したためです。国際航空専門家協会の田中一郎氏(仮名)も「国家間航空委員会の構成を考えると、中立的な調査が難しい可能性は否定できない」と指摘しています。
真相解明への道のりは険しく
アゼルバイジャンとロシアの対立姿勢は、事故原因の究明をより複雑なものにしています。墜落現場の状況把握やブラックボックスの分析など、真相解明にはまだまだ多くの課題が残されています。
国際社会の協力が不可欠
航空事故調査は高度な専門知識と技術を要する複雑なプロセスです。アゼルバイジャン単独での調査には限界があるため、国際社会の協力が不可欠となります。中立的な立場の専門家や国際機関の参画により、客観的な調査を進める必要があります。
アゼルバイジャン・バクーの墓地で旅客機墜落事故の犠牲者を追悼する人
今回の事故は、国際的な航空安全の確保という観点からも重要な意味を持ちます。関係国間の不信感を乗り越え、徹底的な調査を通じて事故原因を究明し、再発防止策を講じることが求められています。今後の調査の進展に注目が集まります。