米国財務省は最近、議会に提出した為替報告書で、韓国を「為替監視対象国」に再指定したことを明らかにしました。これは、ドナルド・トランプ前政権下で強化された貿易政策の文脈において、米国が主要貿易相手国の為替政策に注目していることを示す動きです。
為替監視対象国とは
米国は2015年貿易促進法に基づき、自国との交易規模が大きい上位20カ国のマクロ経済と為替政策を評価します。この評価に基づき、一定の基準に該当する場合に為替操作国あるいは監視対象国に指定します。
監視対象国は、以下の3つの基準のうち2つに該当する場合に指定されます。
- 年間150億ドル(約2兆1500億円)以上の対米貿易黒字
- 国内総生産(GDP)の3%以上に該当する経常収支黒字
- 12カ月中8カ月間以上ドルを純購入し、その規模がGDPの2%を超える場合
これは直ちに制裁につながるものではなく、米財務省が該当国家の為替政策を引き続き詳しく観察するという「警告」の性格が強い措置です。
韓国の再指定とリストに含まれる国々
韓国は2016年4月以降、長期にわたり監視対象国に含まれていましたが、2023年11月に一度リストから外れていました。しかし、昨年11月には再び監視対象国に含まれており、今回の報告書でも引き続き指定されました。
今回の報告書で為替監視対象国とされたのは、韓国、中国、日本、シンガポール、台湾、ベトナム、ドイツ、アイルランド、スイスの9カ国です。このうちアイルランドとスイスは今回新たに加わりました。
韓国は、年間150億ドル以上の対米貿易黒字と、GDP比3%以上の経常収支黒字という2つの基準を満たしたため、監視対象国となりました。
今後の展望と米国の姿勢
3つの基準すべてを充足すると「為替操作国(深層分析対象国)」に分類され、米財務省は自国企業の該当国への投資制限など直接的な制裁を課す可能性があります。
今回の韓国に対する監視対象国再指定は、特に大規模な対米貿易黒字を持つ韓国に対し、通貨価値の切り上げ圧力を強める可能性が懸念されています。
4月に開催された「韓米2+2(財務・商務長官)通商協議」当時、米国側の要求で為替問題が主要案件の一つに含まれていました。
米財務省は今回の報告書で、「深刻な為替不均衡を招く部分を注意深くモニタリングしていく」とし、「『米国優先貿易政策』を支援するために、今後の報告書では貿易国の為替政策と慣行に対する分析を強化する」と表明しました。特に不公正な為替慣行が確認された国家に関税賦課を勧告する場合があると警告しています。
ワシントンD.C.、ホワイトハウス付近を歩くスコット・ベッセント米財務長官(3日)
スコット・ベッセント財務長官は、「我々は引き続き為替慣行分析を強化し、操作国指定により支払うべき費用を増やす」、「財務省は不公正な為替慣行に対して強力な対応策を施行するために使用可能なすべての道具を使っていく」と強調しました。
まとめ
今回の韓国に対する為替監視対象国への再指定は、米国の貿易政策における為替問題の重要性が引き続き高いことを示唆しています。特に、大規模な貿易黒字を抱える国々に対し、米国が今後も為替政策の「不公正性」を厳しく監視し、必要に応じて対抗措置を講じる姿勢を強めていることがうかがえます。