12月29日に発生したチェジュ航空機胴体着陸事故は、世界中に衝撃を与えました。高度な安全装置を備えた航空機が、なぜ車輪なしで着陸するという事態に至ったのか。炎上する機体の映像は、航空安全に対する不安を掻き立てました。jp24h.comでは、現役・元操縦士や航空学専門家の見解を交え、この事故の謎に迫ります。
バードストライクと車輪の謎
今回の事故原因として有力視されているのは、鳥との衝突、いわゆる「バードストライク」によるエンジン異常です。しかし、エンジン異常と着陸装置(ランディングギア)の不具合との因果関係は、未だ明確になっていません。着陸装置が正常に作動していれば、被害は最小限に抑えられた可能性が高いだけに、この点の解明は重要です。
ある現役機長は「エンジン故障が着陸装置の不具合につながる可能性は否定できない」と指摘しています。一方で、国土交通省は「通常、エンジン故障と着陸装置の故障は連動しない」と発表。航空専門家の中にも、バードストライクと車輪の不具合に関連性はないと見る向きもあります。この矛盾を解き明かすには、更なる精密な調査が必要です。
alt(写真:朝鮮日報日本語版) チェジュ航空機胴体着陸事故の衝撃的な映像。航空安全に対する意識を改めて問いかける。
手動操作の可能性:残る疑問
航空機は通常、高度2400~2500フィートで着陸装置を展開します。自動展開に失敗した場合、手動操作で車輪を下ろすことも可能です。副操縦席後方には手動操作用のレバーがあり、27センチの紐を引くことで作動します。
多くの操縦士は、手動操作で車輪を下ろすことは比較的容易だと証言しています。ある現役操縦士は「手動レバーを引けばロックが解除され、重力によって車輪が降りるはずだ。なぜ車輪が出なかったのか理解に苦しむ」と語っています。別の操縦士も「マニュアルでは手動操作に17~18秒かかると記載されているが、実際はもっと早く作動する」と指摘。
さらに、1000フィート以下で車輪が展開されていない場合、「トゥーロー(高度が低すぎる)、ランディングギア」という警告音が鳴り響くといいます。操縦士が車輪の不具合に気づかなかったとは考えにくい状況です。韓瑞大航空人材開発院のチェ・ヨンチョル院長は、「管制塔との交信記録を精査し、時間的余裕の有無などを確認する必要がある」と述べています。
alt(出典:Yahoo!ニュース) チェジュ航空機。今回の事故は、航空業界全体への警鐘となるだろう。
未明の事故:真相究明への期待
今回の事故は、航空安全における数々の疑問を投げかけています。バードストライクと車輪の不具合の関連性、そして手動操作の可能性。これらの疑問を解明し、再発防止策を講じることは、航空業界全体の責務と言えるでしょう。徹底的な調査と情報公開が待たれます。