中国の幼稚園で園児233人に鉛中毒、給食への顔料混入が原因か

香港(CNN) 中国甘粛省天水市の私立幼稚園で、給食に着色料として絵の具の顔料が誤って、あるいは意図的に使われたとみられ、その結果、園児233人の血液から基準を超える鉛が検出されるという深刻な事態が発生した。当局が8日にこの件を発表したことを受け、食品安全問題が繰り返される中国国内で強い非難の声が巻き起こっている。

市政府の報告書を国営中央テレビ(CCTV)が伝えた内容によると、園長を含む8人が有毒で有害な食品を製造した疑いで拘束された。報告書は、園長と出資者が、給食担当の職員に対し、食べ物に絵の具の顔料を使って着色することを許可しており、これが鉛汚染に繋がったと指摘している。この行為は、入園児を増やし、収益を拡大することを目的としていたとされる。

園児251人のうち、233人の血中鉛濃度が異常値を示していることが確認された。影響を受けた園児たちは現在治療を受けており、201人が入院している状態だ。当局は、今回の鉛への暴露による長期的な健康影響について、まだ正式な医学的評価を公表していない。

地元メディアは小児科教授の見解として、影響を受けた園児たちが3カ月以上にわたる慢性的な鉛中毒である可能性を示唆していると報じた。

調査では、朝食時に提供された蒸しケーキを含む二種類の食品から、国家基準を2000倍以上も超える高濃度の鉛が検出された。汚染源となったとみられる塗料入りのバケツは当局によって押収された。このバケツには「食用ではない」ことを明確に示すラベルが貼られていたという。

当局は、園児の血中鉛濃度が異常値を示しているとの報告を1日に受けて、直ちに調査を開始した。小児における鉛への暴露は、脳の発達遅延、行動異常、IQ低下など、深刻な結果をもたらす可能性があると広く認識されている。

報告書では、鉛への暴露がどのくらいの期間続いていたのかは具体的に明らかにされていない。しかし、国営メディアの取材に応じた複数の保護者は、子どもたちの健康状態や行動に異常な兆候が何カ月も前から見られていたと証言している。

中国では過去にも食品を巡る大規模なスキャンダルが発生している。中でも最も悪質な事例の一つは、2008年に工業用化学物質であるメラニンが混入した粉ミルクによって、乳児6人が死亡し、約30万人が健康被害を受けた事件である。この事件では、責任を問われた製造業者幹部に死刑が言い渡されるという厳しい判決が下された。この粉ミルク事件は、中国国内で製造される食品の安全性に対する国民の間に深い不信感を生じさせる結果となった。

中国の幼稚園で鉛中毒の健康被害を受けた園児たち中国の幼稚園で鉛中毒の健康被害を受けた園児たち

今回の幼稚園での鉛中毒事件は、再び中国における食品安全規制の抜け穴と、営利目的での不正行為がもたらす深刻な結果を浮き彫りにした形だ。園児という最も脆弱な人々が標的となったこの事件は、社会全体に衝撃を与え、当局のさらなる厳格な監視と対策が求められている。過去の教訓が十分に生かされていない現状に対し、国内外から懸念の声が上がっている。

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