韓国空港公社、トップ不在8ヶ月で安全性に懸念高まる!済州島着陸事故を機に体制強化なるか?

韓国の済州島で発生した航空機着陸事故。この一件を受け、韓国の空港運営を担う韓国空港公社(KAC)の体制に改めて注目が集まっている。なんと、同社の社長は8ヶ月もの間、空席状態なのだ。公社のトップ不在は、空港の安全管理に深刻な影響を及ぼしているのではないか、という懸念の声が高まっている。

社長不在の韓国空港公社、経営評価は最低ランク

韓国空港公社は、仁川国際空港を除く全国14の空港の運営・管理を担う公企業だ。しかし、文在寅前政権で任命された尹亨重元社長が昨年4月に辞任して以降、社長職務代行がその任に当たっている。後任候補も浮上したが、大統領府移転事業に関わる問題で監査院から懲戒処分を受けたため、任命は難航しているようだ。

韓国航空公社のイメージ韓国航空公社のイメージ

このトップ不在の状態は、公社の経営にも暗い影を落としている。2023年度の公共機関経営実績評価では、設立以来最低となるD(不十分)評価を受けた。特に、安全部門の評価はEプラス(非常に不十分)と極めて低く、空港安全・セキュリティ事業成果管理の適正性もD0と、深刻な状況だ。公社自身も、安全管理技能の不足が低評価の要因だと認めている。

専門性欠如の“天下り”社長、安全管理の障害に?

航空業界からは、政権交代の度に“戦利品”のように社長が任命され、専門性のない“天下り”が安全確保の障害になっているという批判の声が上がっている。空港の競争力向上に貢献しないばかりか、政治的な理由で短期間で交代してしまうため、長期的な展望を描いた経営ができないというのだ。

リーダーシップ不在が招く空港の安全問題

実際、韓国空港公社社長が不在で経営が不安定な時期には、各地の空港で様々な事件が発生している。2015年には、仁川空港公社社長が国会議員選挙出馬のために辞任した後、2件もの密入国事件が発生した。これらの事例は、リーダーシップの不在が空港の安全管理に悪影響を及ぼすことを示唆していると言えるだろう。

空港のセキュリティチェックのイメージ空港のセキュリティチェックのイメージ

今回の済州島での着陸事故は、韓国空港公社の抱える問題を改めて浮き彫りにした。航空安全の確保のためには、公社のトップ不在を解消し、専門性とリーダーシップを持った人材を登用することが急務だ。経営の安定化と安全管理体制の強化なくして、利用客の信頼を取り戻すことはできないだろう。 空港経営コンサルタントの山田一郎氏は、「空港運営において、トップのリーダーシップは非常に重要です。特に安全管理は、トップダウンで徹底していく必要があります」と指摘する。

空港の安全は国民の安全、早急な対策が求められる

韓国空港公社の現状は、韓国の航空安全に対する深刻な危機感を示している。済州島着陸事故を教訓に、公社は早急に体制を立て直し、国民の安全を守る責任を果たすべきだ。