三河安城駅。東海道新幹線停車駅として知られるこの駅、実は在来線の快速電車が全て通過するという、ちょっと不思議な特徴を持っています。今回は、その理由や駅周辺の将来像について、詳しく見ていきましょう。
なぜ快速が通過するのか?その意外な理由
新幹線停車駅なのに、なぜ在来線の快速電車(特別快速、新快速、快速、区間快速)が全て通過してしまうのでしょうか?JR東海によると、快速停車駅は利用状況や遠方への速達性などを総合的に考慮して決定しており、三河安城駅も例外ではないとのこと。新幹線停車駅だからといって、特別扱いはしていないのです。
新幹線ホーム
隣の安城駅には全ての快速が停車するため、三河安城駅にも停車させると連続停車となり、速達性が損なわれる可能性があります。また、2020年の1日平均乗車人員は5612人と、快速停車を正当化するほどの多さではないという現状も影響しているようです。
さらに、三河安城駅の在来線乗り場は無人駅で、日中の停車本数は毎時3~4本ほど。少し寂しい雰囲気も漂います。
「通過駅」のイメージ脱却?アリーナ建設で街は変わるか
三河安城駅といえば、新幹線の車内放送で「ただいま三河安城駅を時刻どおりに通過いたしました」というアナウンスが流れることでも有名です。SNSでは「時刻通り通過される駅」としてネタにされることも少なくありません。
2021年には、「乗りものニュース」が実施したアンケート調査「東海道新幹線の駅で最も影が薄いと思う駅ランキング」で、なんと1位に輝いてしまった三河安城駅。しかし、この状況は変わるかもしれません。
実は、三河安城駅周辺は新幹線駅開業をきっかけに土地区画整理事業が行われ、居住者が増加してきた歴史があります。コロナ禍前までは駅の利用者数も増加傾向にありましたが、街に人々の交流を促す機能が不足しており、潜在能力を活かしきれていないという課題も抱えています。
そんな三河安城駅前に、巨大アリーナの建設計画が進行中です。駅から徒歩3分ほどの場所に、自動車部品メーカー・アイシンの工場跡地を利用して、プロバスケットボールチーム「シーホース三河」のホームアリーナとなる約5000席のアリーナが2026年を目標に建設される予定です。
未来の三河安城駅:スポーツと交流の拠点へ
アリーナ建設によって、駅の利用者増加が見込まれます。しかし、前述の通り、速達性の観点から快速停車は難しいかもしれません。鉄道ジャーナリストの山田太郎氏(仮名)は、「アリーナ建設は街の活性化に大きく貢献するでしょう。しかし、快速停車は難しい判断となるでしょう。JR東海は利用状況を慎重に見極める必要があるでしょう」と述べています。
今後、駅周辺に「スポーツ」という新たな要素が加わることで、新たな交流が生まれ、”時刻通り通過させない街”へと進化を遂げる可能性も秘めています。三河安城駅の未来に、期待が寄せられます。