チェジュ航空機務安空港での胴体着陸事故。ブラックボックスのフライトレコーダーの損傷が激しく、国内での解析が不可能なため米国に送られることになりました。事故原因の究明には数ヶ月、場合によっては数年かかる可能性も出てきています。一体何が起きたのでしょうか?この記事では、事故の現状と今後の調査について詳しく解説します。
ブラックボックス解析、米国へ 事故原因究明の鍵を握るデータ
韓国国土交通部は、事故当日に回収されたブラックボックスのうち、フライトレコーダーが損傷しており、国内でのデータ抽出は不可能と判断。米国家運輸安全委員会(NTSB)に送って分析を行うことを発表しました。フライトレコーダーは航空機の飛行ルートや各装置の作動状態を記録する重要な装置です。高度、速度、エンジン出力、ランディングギアの作動など、事故原因を解明するための貴重なデータが記録されています。
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損傷したフライトレコーダーは、電源部と保存装置をつなぐコネクターが紛失している状態。このコネクターは汎用性がなく、国内での代替品調達が困難な上、接合には高度な技術が必要とのこと。専門家からは、むやみに開封すればデータ保存に問題が生じる可能性も指摘されています。航空事故調査の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「フライトレコーダーの損傷は、事故原因究明を難航させる可能性がある」と懸念を示しています。
ボイスレコーダーは解析可能 事故当時の状況解明に期待
一方、ボイスレコーダーは比較的良好な状態で回収され、現在データの取り出しと音声ファイルへの変換作業が進められています。ボイスレコーダーには、コックピット内の会話や管制塔との交信内容などが記録されており、事故当時の状況を把握する上で重要な手がかりとなります。国土交通部によれば、音声ファイルへの変換作業は2日程度で完了する見込みです。
滑走路短縮の影響は? 事故当時の状況が徐々に明らかに
事故調査委員会は韓米合同調査チームを結成し、現場調査を開始。機体やエンジンの残骸の状態、鳥類の痕跡などを調べています。また、務安空港の滑走路が延長工事のため、通常の2800メートルから2500メートルに短縮運用されていたことも明らかになりました。航空工学の専門家である田中美咲氏(仮名)は、「滑走路の短縮が、着陸時のスピードコントロールに影響を与えた可能性も否定できない」と指摘しています。
事故機が通常とは反対方向に着陸した経緯についても、国土交通部は操縦士が復航を試みた後、管制官の指示で最も近い方向に着陸を試みたと説明しています。
事故原因究明は長期化も 今後の調査に注目
フライトレコーダーの米国への輸送、そして解析には数ヶ月、場合によっては数年かかる可能性があります。事故原因の究明には、ブラックボックスの解析結果に加え、現場調査や関係者への聞き取り調査など、多角的なアプローチが必要となるでしょう. 今後の調査の進展が待たれます。