トランプ氏とイーロン・マスク氏、大型減税巡り関係決裂が鮮明に

ドナルド・トランプ前大統領と実業家のイーロン・マスク氏が、トランプ政権下で成立した大型減税法案を巡り激しい非難の応酬を繰り広げており、かつての蜜月関係の決裂が決定的なものとなっています。この対立は、世界的に注目される二人の影響力ある人物の間で何が起きているのか、そしてそれが今後の政治・経済情勢にどう影響するのか、大きな関心を集めています。

かつては良好な関係を築いていたトランプ氏とマスク氏。マスク氏は大統領選でトランプ氏に多額の献金を行い、勝利に貢献したとされています。また、トランプ政権下では政府の効率化に関するアドバイザー(「政府効率化省」トップ)を務め、トランプ氏もその手腕を高く評価していました。しかし、マスク氏が経営する電気自動車メーカー「テスラ」の大幅減収などを受け、マスク氏は先月30日にこの役職を退任しました。退任会見では、両者ともに今後も連携を続ける考えを強調していました。

ドナルド・トランプ前大統領が演説する様子ドナルド・トランプ前大統領が演説する様子

ところが、退任からわずか4日後、マスク氏はトランプ政権の主要政策であった大型減税法案について、自身のSNS上で「不快で忌まわしい(offensive and awful)」と投稿し、これを痛烈に批判しました。マスク氏は、この法案が財政赤字を拡大させることなどを問題視していると見られます。

テスラCEOのイーロン・マスク氏が会見で話す姿テスラCEOのイーロン・マスク氏が会見で話す姿

これに対し、トランプ氏はマスク氏に失望したと述べ、「イーロンは誰よりもこの法案の内容を知っており、何の問題も感じていなかった」と反論しました。マスク氏はこれにも即座に反応。「それはウソだ。この法案は一度も私に提示されていない」と反論するSNS投稿を行い、さらに「私がいなければ、トランプ氏は選挙に敗北していただろう。恩知らずだ」とまで書き込みました。その後、トランプ氏は改めてSNSで、「イーロンは限界に達していたので、私が政権を去るよう求めた」「彼は完全に気が狂ってしまった」と述べました。

トランプ政権の大型減税法案に関連する資料または報道画面トランプ政権の大型減税法案に関連する資料または報道画面

トランプ氏はまた、自身の政権から去る人物について一般論として、「寂しがったり、受け入れたり、敵対したりする人もいる。一種の『トランプ錯乱症候群(Trump Derangement Syndrome)』だろう」と指摘しました。

自身の政権を去った人々について言及するトランプ前大統領自身の政権を去った人々について言及するトランプ前大統領

このように、トランプ氏とマスク氏の長年の関係は、大型減税法案を巡る意見の相違から決定的な決裂へと至りました。SNS上で繰り広げられた生々しい非難の応酬は、両者の個人的な感情や政治的スタンスの違いを浮き彫りにしています。今後の関係修復が可能かどうかに注目が集まる中、ロイター通信など複数のメディアは、現地時間6日に両者が関係修復のための電話会談を行う予定だと報じています。

Source: 日テレNEWS NNN / ロイター通信など