ロシア産ガス供給停止:スロバキア、ウクライナへの報復措置を検討か

ロシア産天然ガスのウクライナ経由による欧州への供給が停止されたことを受け、スロバキアはウクライナへの報復措置を検討している。この供給停止は、ウクライナがロシアとのガスの通過契約を更新しなかったことが原因とされている。スロバキアは、この決定によって経済的損失を被ると主張し、ウクライナへの対抗措置を示唆している。

スロバキア首相、ゼレンスキー大統領を非難

ロベルト・フィツォ首相は、自身のSNSへの投稿で、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領を名指しで非難。「スロバキアの財政活動を妨害した」と述べ、ウクライナへの電力供給停止や難民援助の縮小といった報復措置の可能性を示唆した。この強硬な姿勢は、ウクライナとの関係悪化を招く可能性があり、今後の両国関係に注目が集まっている。

スロバキアのガス供給施設スロバキアのガス供給施設

ウクライナ、ロシアへの資金流入を阻止

ウクライナは2019年からロシア国営ガス会社ガスプロムとガスの通過契約を結んでいたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、契約更新を拒否した。ウクライナ側は、この契約がロシアの資金源となり、戦争遂行を助長する可能性があると主張。2024年12月末で契約期限を迎えた。

専門家の見解

エネルギー政策に詳しい東京大学の山田教授(仮名)は、「ウクライナの決定は理解できるが、欧州へのエネルギー供給に影響を与える可能性があるため、慎重な対応が必要だ」と指摘する。また、国際的なエネルギー協力の重要性も強調している。

両国代表団、ブリュッセルで協議へ

ウクライナの英字ニュースサイト「キーウ・インディペンデント」によると、スロバキアとウクライナの代表団は1月7日にブリュッセルで協議を行う予定。供給停止による影響や今後の対応策について話し合われる見通しだ。両国の対立が深まる中、この協議が事態の打開につながるかが焦点となる。

ガスプロム本社ビルガスプロム本社ビル

ロシア、巨額の損失見込み

ロイター通信によると、今回の契約失効により、ロシア側は約50億ドル(約8000億円)の売り上げを失うと予想されている。この損失は、ロシア経済に少なからず影響を与える可能性があり、今後のロシアの動向にも注目が集まる。

ヨーロッパのエネルギー安全保障への影響

今回の供給停止は、ヨーロッパ全体のエネルギー安全保障にも大きな影響を与える可能性がある。ロシアへのエネルギー依存からの脱却が急務となる中、代替エネルギー源の確保や国際協力の強化が重要となるだろう。