バスの乗り過ごし、誰にでも起こりうる出来事です。しかし、その焦りから運転手さんにバス停以外での降車を強要してしまうのは、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」にあたる可能性があります。今回は、日本バス協会が発表したカスハラ防止啓発ポスター第2弾を元に、バス停以外での降車強要問題について深く掘り下げてみましょう。
カスハラとは? なぜバス停以外に停車できないのか?
カスタマーハラスメントとは、顧客による不当な要求やクレーム、暴言など、従業員の尊厳を傷つける行為のことです。バスの運転手さんも例外ではなく、近年カスハラ被害が増加傾向にあります。中には、乗り過ごした乗客から「いますぐ降ろせ!」と怒鳴られたり、無理な停車を要求されたりするケースもあるそうです。
バス停を過ぎたバスのイメージ
では、なぜバスはバス停以外に停車できないのでしょうか? それは、バスの運行は道路運送法によって厳しく規定されているからです。走行経路やバス停の位置は事前に届け出られており、許可なく変更することはできません。 フリー乗降区間や道路工事など、特別な状況を除き、バス停以外での乗降は法令違反となります。 乗客の安全確保の観点からも、決められた場所でなければ安全に停車できない場合が多いのです。
運転手さんの苦悩と安全運行への影響
カスハラは運転手さんの精神的な負担を増大させるだけでなく、安全運行にも悪影響を及ぼします。 運転手さんがカスハラ対応に追われることで、運転への集中力が低下し、事故のリスクが高まる可能性も否定できません。
交通心理学の専門家である山田教授(仮名)は、「カスハラは運転手さんの心理状態に大きな影響を与えます。プレッシャーやストレスを感じながらの運転は、判断力や操作ミスを招きやすく、大変危険です」と警鐘を鳴らしています。
乗り過ごしを防ぐためにできること
乗り過ごしは誰にでも起こりうることですが、事前に対策を講じることで防げる場合もあります。例えば、バスに乗る前に降車予定のバス停を確認しておく、車内アナウンスに注意を払う、スマートフォンの地図アプリで現在地を確認するなど、様々な方法があります。
逆ギレする乗り過ごし客のイメージ
また、万が一乗り過ごしてしまった場合は、落ち着いて運転手さんに状況を説明し、次のバス停で降車させてもらうようにお願いしましょう。焦って感情的になるのではなく、冷静な対応を心がけることが大切です。
安心・安全なバス運行のために
バスは私たちの生活に欠かせない公共交通機関です。安心・安全なバス運行を守るためには、乗客一人ひとりの協力が不可欠です。 カスハラ撲滅のためにも、ルールを守り、運転手さんに敬意を持って接することを心がけましょう。
日本バス協会の啓発ポスターは、全国のバス事業者で順次掲示される予定です。ポスターを通して、カスハラ問題への理解が深まり、より良いバス利用環境が実現することを期待します。