女子に学歴は必要ない?いまだに残る地域格差。女性の進学を阻む偏見と教育環境


 日本社会にはいまだに「女子に学歴は必要ない」との考えが強く残る。共同通信は10月、「地域からジェンダー平等を2024 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数をてこに」と題したシンポジウムを開いた。有識者や現役学生が女性の直面する地域格差、男女格差について議論を交わした。(共同通信=松本智恵)
 ▽東北と九州では大学に行く女性が少ない

 ジェンダー研究の第一人者、上智大の三浦まり教授はシンポジウムに寄せたビデオメッセージで「格差は自己責任で放置すべきものではない」と強調した。

 三浦教授らでつくる「地域からジェンダー平等研究会」のデータからは、明らかな地域格差が読み取れる。

 昨春時点での都道府県別の女子の四年制大学進学率は、東京が最も高い76・5%。京都70・1%、山梨62・3%と続く。一方、東北や九州の8県では30%台で、女子が男子より上回ったのは徳島県だけだった。

 教育をジェンダー視点で分析する九州大の河野銀子教授は「戦後、女子の進学率は上昇してきたが、現在も男子より約6%低く、大学在学者に占める割合も半数に満たない」と現状を説明した。進学は個人の自由意思によると考えがちだが、「地域の産業構造や教育環境が大きく関係している」と話す。

 例えば、1次や2次産業の従事者が多い地域では、農業、工業など専門高校の比率が都市部より高いが、大学入試には不利になるケースがある。「普通科に進もうと思っても近くになければ下宿をしないといけない。地域間でこうした『選択の格差』が生まれている」と訴える。

 その上でこう強調した。「自分が住んでいる地域にある男女格差などに当事者が気がつくのは難しい」
 ▽ジェンダー平等の基盤は自己決定権

 シンポジウムでは参加者から「教育は人生の選択肢を広げ、自己決定に不可欠なものだ」との声が上がった。



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