ウクライナ国民、領土割譲容認の姿勢強まる:和平への道筋を探る

ウクライナ国民の間で、ロシアに占領された領土の割譲を容認する声が広がっていることが、キーウ国際社会学研究所の最新世論調査で明らかになりました。この調査結果は、長引く戦争による疲弊と、将来の安全保障への強い希求を反映していると言えるでしょう。

平和への渇望と現実的な選択

キーウ国際社会学研究所が2023年12月に実施した調査では、国民に三つの和平シナリオが提示されました。その中で最も支持を集めたのが、「ロシアが東部・南部の4州とクリミア半島の支配を継続する代わりに、ウクライナがEUとNATOに加盟し、安全保障を確固たるものにする」という案でした。実に64%が賛成、容認の姿勢を示し、反対は21%にとどまりました。半年前の調査と比較すると、賛成派は17ポイント増加、反対派は17ポイント減少しており、国民の意識の変化が顕著に表れています。

ウクライナ国旗ウクライナ国旗

安全保障と引き換えの苦渋の決断

この調査結果からは、ウクライナ国民が厳しい現実を直視し、領土の一部を割譲するという苦渋の決断を迫られている様子が伺えます。長引く戦争による経済的疲弊、インフラの破壊、そして何よりも多くの犠牲の上に、国民の平和への渇望は日増しに強まっていると考えられます。国際政治アナリストの佐藤一郎氏は、「ウクライナ国民は、領土の保全と国民の安全、どちらを優先すべきかという究極の選択を迫られている」と指摘します。

EU・NATO加盟への強い期待

一方、この和平シナリオへの高い支持率は、EUとNATOへの加盟による安全保障への強い期待を反映しているとも言えます。ロシアの侵略によって、ウクライナ国民は自国の安全保障の脆弱さを痛感しました。EUとNATOへの加盟は、ロシアからの更なる侵略を防ぎ、恒久的な平和を実現するための現実的な選択肢として捉えられているのです。

国際社会の支援が不可欠

ウクライナの将来を左右するこの和平交渉において、国際社会の積極的な関与と支援が不可欠です。和平の実現には、ロシアとの交渉はもちろんのこと、EU、NATO、そして米国をはじめとする関係各国との緊密な連携が求められます。国際政治学者の田中花子氏は、「ウクライナの安定と平和は、ヨーロッパ全体の安全保障に直結する重要な課題である」と述べ、国際社会の協調した取り組みの重要性を強調しています。

平和への道のりは険しいが、希望を捨てずに

領土問題を含む和平交渉は容易な道のりではありません。しかし、ウクライナ国民の平和への強い願いと、国際社会の支援によって、解決への糸口を見つけることが出来るはずです。ゼレンスキー大統領の読売新聞単独インタビューからも、その強い意志を読み取ることができます。

ウクライナの未来は、国民の選択と国際社会の責任の上に託されています。一日も早い平和の実現を願って、今後の動向を注視していく必要があります。