リチウムイオン電池火災:身近な危険から身を守る方法

近年、モバイルバッテリーやスマートフォン、電動アシスト自転車など、リチウムイオン電池を搭載した製品が普及する一方で、発火事故の件数も増加傾向にあります。便利な反面、正しい知識と適切な使用方法を理解しなければ、思わぬ事故につながる可能性も。本記事では、リチウムイオン電池の火災リスクと安全対策について詳しく解説します。

リチウムイオン電池火災の現状

東京消防庁のデータによると、リチウムイオン電池関連の火災は2023年に167件発生し、10年間で8倍以上に増加しています。中でもモバイルバッテリーは44件と最も多く、スマートフォン(17件)、電動アシスト自転車(14件)と続きます。原因としては、「通常使用中」の他に、「落下等の外部衝撃」「分解・廃棄」「充電方法の誤り」などが挙げられます。

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消費者庁にも、電熱ベストや充電式カイロの発火に関する報告が多数寄せられており、事態を重く見ています。京都大学大学院工学研究科の山田教授(仮名)は、「リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、取り扱いを誤ると発熱・発火のリスクがある」と警鐘を鳴らしています。

火災を防ぐための9つのポイント

消費者庁は、リチウムイオン電池火災を防ぐための9つの注意点を公表しています。これらのポイントをしっかり守ることで、安全にリチウムイオン電池を利用することができます。

1. 取扱説明書の熟読

各製品の取扱説明書をよく読み、メーカーの指示に従って使用することが重要です。正しい充電方法や保管方法、使用上の注意点などを理解しておきましょう。

2. 衝撃と圧力に注意

強い衝撃や圧力を加えると、電池が損傷し、発火の原因となる可能性があります。落下させたり、重いものを上に置いたりしないように注意しましょう。

3. 安全な場所で充電

充電中は製品の様子を確認できる安全な場所で行いましょう。就寝中の充電や、燃えやすいものの近くでの充電は避けるべきです。充電が完了したら、すぐにプラグを抜くことも大切です。

4. 純正品の使用

純正の充電器やバッテリーを使用しましょう。非純正品や改造された製品は、安全性が保証されておらず、発火のリスクが高まります。

5. 適切な保管場所

直射日光や高温多湿の場所を避け、安全な場所に保管しましょう。特に、使用済みの電池は適切に処理することが重要です。

6. 製品の安全性確認

購入前に製品の安全性に関する情報をしっかり確認しましょう。信頼できるメーカーの製品を選ぶことが大切です。

7. リコール情報の確認

製品のリコール情報に常に注意を払い、対象製品の場合は速やかに対応しましょう。メーカーのウェブサイトや消費者庁のウェブサイトなどで確認できます。

8. 正しいリサイクル・廃棄

使用済みのリチウムイオン電池は、自治体の指示に従って適切にリサイクル・廃棄しましょう。一般ゴミと一緒に捨てると、発火の危険性があります。

9. 公共交通機関での持ち込み規則の確認

公共交通機関でのリチウムイオン電池の持ち込みには、制限がある場合があります。事前に各交通機関の規則を確認し、安全に持ち運びましょう。

まとめ

リチウムイオン電池は私たちの生活に欠かせないものですが、その一方で火災のリスクも存在します。今回ご紹介した9つのポイントを参考に、正しい知識と使用方法を身につけ、安全にリチウムイオン電池を利用しましょう。専門家によると、特に高温になる場所に放置しない、変形や損傷のあるバッテリーは使用しない、充電中は放置しないことが重要とのことです。