中国のトランスジェンダー舞踊家、金星氏の公演が相次ぎ中止 LGBTQ+への圧力強化か

中国で著名なトランスジェンダー舞踊家、金星(ジン・シン)氏の舞踊団の公演が、中国各地で突然中止になっている。理由は明らかにされておらず、中国政府によるLGBTQ+コミュニティへの圧力強化が背景にあるとみられている。

成功を収めていた金星氏

金星氏は、中国におけるトランスジェンダーのパイオニア的存在として、長年にわたり活躍してきた。57歳になる彼女は、ダンサーとしてのキャリアに加え、テレビ番組の司会やSNSインフルエンサーとしても成功を収めている。微博(ウェイボー)のフォロワー数は1360万人を超え、国営メディアからも「中国現代舞踊の10大レジェンド」の一人として称賛されている。

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金星氏の成功は、中国社会におけるLGBTQ+の認知度向上に大きく貢献してきた。しかし、近年、習近平指導部の下でLGBTQ+コミュニティへの締め付けが強まっている。

公演中止の波紋

2023年末、広州市で金星氏の舞踊団の公演が「書類不備」を理由に中止となった。その後、仏山市、蘇州市、上海市など、中国各地で同様の事態が発生している。いずれも中止の明確な理由は示されていない。

金星氏自身は、広州市の公演中止について微博で批判し、説明を求めていた。この投稿は後に削除されたが、金星氏は国際メディアの取材に対し、40年間認められてきた公演が突然中止になったことに納得がいかない、と語っている。

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一部では、金星氏が過去の公演でレインボーフラッグを掲げたことが、当局の反感を買ったとの憶測も出ている。しかし、金星氏自身は、その後の公演にも影響はなかったと否定している。

LGBTQ+への圧力強化

オーストラリア・カーティン大学のサム・ウィンター准教授は、金星氏のケースは、中国政府によるLGBTQ+への圧力強化の象徴的な事例だと指摘する。かつては上海プライドのようなイベントも開催されていたが、近年はLGBTQ+関連団体への規制が強化され、活動家への嫌がらせやプライドパレードの中止、同性愛をテーマにした映画やテレビ番組の禁止などが相次いでいる。

今後の展望

金星氏の公演中止は、中国におけるLGBTQ+の権利擁護の現状を浮き彫りにしている。表現の自由に対する制限が強まる中、金星氏のような著名人の活動がどのように制限されていくのか、今後の動向が注目される。